講演・スピーチ 令和6年市長施政方針

公開日 2024年02月28日

更新日 2024年02月28日

 

とき:令和6年2月20日

ところ:令和6年3月定例会

私が市長就任後、本市を取り巻く環境は大きく変わってまいりました。   

まず、新東名高速道路のインターチェンジの開通により、首都圏への

交通アクセスが飛躍的に向上しました。東部第二土地区画整理事業に続き、

伊勢原大山インターチェンジ周辺では産業拠点整備が着々と進み、

さらには、伊勢原駅北口市街地再開発の再始動、小田急電鉄株式会社の

総合車両所の建設計画が進みつつあるなど、本市の持続的な発展に向けた環境づくりを積極的に進めることができました。

また、コロナ禍を経てICT化が急速に進展し、私たちの暮らしに対する意識も大きく変化し、今後は、デジタル技術を活用した更なる市民サービスの充実や利便性の向上が求められていくものと捉えています。

そして今、心に留めておかなければならないのが、今年元日に発生した「令和6年能登半島地震」についてであります。震災により多数の方が犠牲となり、地震発生から1か月半以上が経過しましたが、未だに厳しい環境での避難生活を余儀なくされておられるなど、改めてお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復旧・復興に期待をするところであります。

本市といたしましても、「緊急消防援助隊」の出動や、「応援職員」の派遣を神奈川県等と連携して行っているところです。こうした大規模災害を踏まえますと、決して他人事ではなく、我々の周辺でも起こり得ることを再認識しておかなければなりません。

現在、地域防災計画の見直しを進めております。市民の皆様の安全・安心の確保のため、大規模災害に備えた実践的な体制の構築を、計画的に進めていく必要があるものと考えています。

予算編成の基本的な考え方

我が国の経済の動向を見てみますと、海外情勢等に起因する物価高騰や為替相場の変動による影響などを受けながらも、30年ぶりとなる賃金水準の引き上げが行われるなど、前向きな動きが見られるようになり、政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定しました。

世界的な金融引き締めの動向や海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクへの懸念はあるものの、神奈川県内の経済情勢についても、緩やかな回復基調の継続が期待されています。

しかし、景気の回復が本市の市税に反映されるまでには一定の期間を要し、また、税制改正などもあり、令和6年度においては、市税の増収を見込むまでには至っておりません。

一方で、社会保障関係費の増加が続く中、子ども・子育て施策の充実など、国の制度改正への対応等に伴う負担も増加しています。さらに、資材価格の高騰や人件費の上昇に伴い事業費が増大するなど、歳入の横ばい傾向に対して歳出の増加傾向が顕著となっている状況です。

このような社会経済動向を背景に、令和5年4月に「伊勢原市第6次総合計画」をスタートさせ、将来都市像である「人と自然と歴史が織りなす 暮らしやすさ実感都市 伊勢原」の実現に向けて新たな一歩を踏み出しました。

全ての市民が安心して住み続けることができるように、また、選ばれるまちとなるように、令和6年度は、この歩みを確かなものとしていかなければなりません。

こうした基本認識の下、令和6年度予算は、「第6次総合計画・実施計画の重点事業を着実に推進する」ことをめざして編成しました。

第一に、市民の皆様の安全・安心に配慮し、必要な行政サービスの継続性を確保することを基本としました。予算計上事業にあっては、改めて事業の内容、実施方法等を精査して、必要最小限の額とすることといたしました。

その上で、次代を担う子どもたちを安心して産み育てることができる環境の充実や、税財源のかん養等に向けた伊勢原駅北口市街地再開発事業、都市計画道路田中笠窪線整備事業など、必要な投資については継続・拡充を図りました。

さらに、行政改革やICT化の推進など、一時的な負担増となるものの、事務事業の節減効率化を図る取組へ財源を配分することとしたほか、公共施設の長寿命化、市立小中学校の在り方検討をはじめとする課題解決に向けた取組など、未来への道筋をつけるための予算の編成に取り組んだところです。

なお、施策の推進に伴い、多額の財源不足が生じますことから、特定財源を有効活用するとともに、市債の適切な活用を見込み、さらに不足する財源については、最低限必要となる残高を確保した上で財政調整基金を繰り入れることといたしました。

財政調整基金残高は低減することとなりますが、施策推進と財政健全化とのバランスを図りながら、可能な限りの積み増しに努めてまいる考えです。

予算規模

令和6年度伊勢原市予算の概要につきまして、御説明します。金額は、100万円単位とさせていただきます。また、比較増減は、令和5年度当初予算に対するものとなります。

まず、予算規模について申し上げます。

一般会計の予算額は、379億7,300万円で、26億5,100万円の増となりました。

主な要因といたしましては、秦野市・伊勢原市共同消防指令センター整備や都市計画道路田中笠窪線の整備、図書館・子ども科学館施設長寿命化など、第6次総合計画の着実な施策推進に係る事業費の増、自治体情報システム標準化・共通化の事業進ちょく等に伴う増、扶助費の増や医療・社会保障関連特別会計への繰出金の増などによるものです。

特別会計4会計の予算額は、198億9,000万円で、4億4,900万円の増となりました。介護保険事業特別会計及び後期高齢者医療事業特別会計が増となったものです。

公営企業会計の予算額は、61億3,100万円で、2億4,200万円の減となりました。

以上、6会計の予算額は、639億9,400万円で、28億5,800万円の増となりました。

次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。

まず、歳入です。

一般財源額は、240億1,800万円で、1億7,700万円の増となりました。財政調整基金繰入金が増となったことなどによるものです。

続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。

市税は、2億8,400万円の減となりました。法人市民税は、企業収益の減等により減となる一方、個人市民税は給与所得の増により、固定資産税は、評価替えによる地価の上昇等により、それぞれ増収を見込みましたが、国の定額減税に伴い個人市民税が減となり、市税総体としても減を見込むこととなりました。

なお、定額減税に伴う減収分については、地方特例交付金により全額が補てんされることから、地方特例交付金は4億8,000万円の増を見込みました。

国庫支出金は、9億6,700万円の増を見込みました。自治体情報システム標準化・共通化に係る国庫補助金の増などによるものです。

市債は、9億6,100万円の増となりました。臨時財政対策債の減の一方、秦野市・伊勢原市共同消防指令センター整備事業の進ちょくに伴う増などによるものです。

続きまして、歳出の性質別に主な内容を申し上げます。

人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、7億2,200万円の増となりました。市債残高の減少等による償還元金・利子の減に伴い公債費が減となる一方、子ども・子育て支援給付費の増等に伴い扶助費が増、一般職の職員手当の増等に伴い人件費が増となることによるものです。

普通建設事業費は、17億7,900万円の増となりました。秦野市・伊勢原市共同消防指令センター整備や都市計画道路田中笠窪線整備の事業の進ちょくなどによるものです。

続きまして、各特別会計及び公営企業会計について申し上げます。

国民健康保険事業特別会計は、300万円の減となりました。一般会計からの繰入金は、1,600万円の増です。

用地取得事業特別会計は、前年度と同額で、一般会計からの繰入金も同額です。

介護保険事業特別会計は、2億5,200万円の増です。一般会計からの繰入金は、4,500万円の増です。

後期高齢者医療事業特別会計は、2億円の増です。一般会計からの繰入金は、3,300万円の増です。

最後に、公営企業会計について申し上げます。

公共下水道事業会計は、2億4,200万円の減となりました。一般会計からの繰入金は、負担金、補助金及び出資金の合計で、1億500万円の減です。

令和6年度 主な取組

第6次総合計画・実施計画の施策体系に沿って、令和6年度の主な取組を御説明いたします。

「防災・安全分野」

「防災」の施策

桜台小学校にマンホールトイレユニット及び収納庫を整備し、避難所における衛生環境の向上に努めます。

「消防・救急」の施策

消防の広域連携等に向け、令和5年度に引き続き秦野市・伊勢原市共同消防指令センターにおける消防総合指令システムや消防救急デジタル無線設備の整備を進めます。

「交通安全」の施策

伊勢原駅及び愛甲石田駅周辺における市営自転車等駐車場の再整備等に向けた自転車等駐車場整備計画を策定するとともに、伊勢原駅南口自転車駐車場の修繕計画を作成します。

「福祉・保健分野」

「障がい者福祉」の施策

発達障がい児の保護者を対象とする「ペアレントトレーニング」を実施し、発達障がい児や発達障がい者、また、その家族に対する支援体制の整備を進めます。

「運動・スポーツ」の施策

市体育館エントランスホールの空調設備の改修工事を実施し、体育館を訪れる市民等に快適な環境を提供するとともに、避難所としての機能強化等を図ります。

「子育て・教育分野」

「子育て支援」の施策

「妊産婦健康診査等」に係る費用の一部助成に加え、「多胎妊婦健康診査」の費用助成を開始して経済的負担の軽減を図るとともに、令和6年10月から小児医療費助成の対象年齢を18歳まで拡大し、子育て支援の一層の充実を図ります。

さらに、子どもの貧困対策推進に向け、子どもの生活状況調査を実施するほか、令和7年度に供用開始を予定している新築分庁舎の建設工事に合わせて、子育て世代に配慮した設備の整備等を進めます。

「若者・青少年」の施策

子どもや若者のひきこもりに関する実態調査を行うとともに、居場所づくりやセミナーを行うなど、当事者や家族への支援に努めます。

「教育環境整備」の施策

学校施設個別施設計画に基づき、比々多小学校体育館の屋根・外壁等の改修工事、中沢中学校校舎の屋上・外壁改修工事等を実施するほか、学校教育を取り巻く環境変化に対応し、教育条件の維持と改善を図るため、市立小中学校の適正規模・適正配置に係る基本方針の策定等に取り組みます。

「生涯学習」の施策

図書館・子ども科学館個別施設計画に基づき、屋上・外壁など図書館・子ども科学館施設の長寿命化改修工事を実施します。

「産業・環境分野」

「商工業」の施策

市内中小企業の持続的な発展を図るため、先端設備等導入に係る費用の一部補助を実施し、中小企業の生産性向上に向けた設備投資を支援します。

「地球・生活環境」の施策

EVカーシェアリング事業による電気自動車の普及啓発や「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」に対する一般家庭向けの補助など、「ゼロカーボンシティいせはら」の実現に向けた取組を推進します。

「地球・生活環境」の施策

「ゼロカーボンシティいせはら」の実現に向け、EVカーシェアリング事業による電気自動車の普及啓発や一般家庭向けに「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」に対する補助を実施します。

「循環型社会」の施策

可燃ごみとして集積所に出され、焼却される草木類について、新たに収集支援システムを活用した効率的な分別収集に取り組み、ごみの減量化や資源化を促進します。

「都市基盤分野」

「都市整備」の施策

伊勢原駅北口市街地再開発事業について、事業認可及び組合設立認可に必要な事業計画作成等を行う準備組合を支援するとともに、関係権利者の合意形成を図るほか、伊勢原大山インター土地区画整理組合に対する技術的援助や補助金交付により、土地区画整理事業の円滑な推進を図ります。

「道路」の施策

都市計画道路田中笠窪線の計画的な整備に向け、詳細設計等に取り組むとともに、安全な交通環境や歩行空間の確保に向け、通学路等の歩道整備やバリアフリー化、歩車共存道路の整備を推進します。

「住宅」の施策

空き家の適切な管理に向け、市内における空き家の実態調査を実施します。

「市民・行政分野」

「コミュニティ・市民協働」の施策

自治会運営や地域集会施設等の整備に対する財政的支援などを行い、地域住民による活動促進を図るとともに、持続可能な地域コミュニティの実現に向けた調査、研究を進めます。

「行財政運営」の施策

全庁業務量調査の結果を分析し、業務の効率化や人的資源の効果的な配分等、行政運営の最適化に向けた取組を進めます。

「公共施設マネジメント」の施策

市民文化会館の長寿命化等を図る施設改修について、公民連携による事業手法を前提に、特定天井の脱落防止対策に係る実施設計等を実施します。

「ICTの利活用」の施策

国が策定した標準仕様に適合した自治体情報システムへの円滑な移行に向け、データ移行や環境構築などの準備を進めます。

以上、第6次総合計画・実施計画に位置づける重点事業のうち、当初予算に計上して取り組む主な事業について説明し、令和6年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。

市民の皆様が安心して暮らすことができるまち、誰もが暮らしやすさを実感し、住み続けたいと思えるまちづくりに向け、施策の一層の推進に、また財政の健全化に全力で取り組んでまいりますので、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

このページの
先頭へ戻る