○伊勢原市環境基本条例

平成22年3月24日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本的な施策(第9条―第12条)

第3章 効果的推進のための施策(第13条―第21条)

第4章 雑則(第22条・第23条)

附則

伊勢原市は、大山山麓の豊かな自然に抱かれ、大山モミの原生林を始めとした森林、暮らしに密着してはぐくまれた里山などが広がり、四季を通じて温暖な気候や地理的歴史的特性ともあいまって、商工業、農業、観光、文教、住宅などの多様な性格を持つ調和のとれた都市として、着実に発展してきた。

しかし、身近な自然の減少、生活の利便性や物質的な豊かさを求めて、資源やエネルギーの大量消費、廃棄物の増大、大気の汚染、水質の汚濁など都市の活動や生活に密接に関係する環境問題が発生した。

さらに、今日の環境問題は、地球温暖化、オゾン層の破壊など地球規模へと拡大し、人の生存や動植物の生息をも脅かすまでに至っている。

もとより、私たちは、安全かつ健康で文化的な生活を営む上で欠くことができない環境の恵みを享受する権利を有していると同時に、健全で恵み豊かな環境を将来の世代に引き継いでいく責務を有している。

このため、私たち一人ひとりが、自らが環境に負荷を与えていることを自覚し、環境教育及び環境学習に主体的に取り組みながら、自らの生活様式や社会・経済活動を見直し、積極的に良好な環境の保全と創造に努めなければならない。

この認識のもと、市、市民、市民団体、事業者などがそれぞれの役割を自覚し、自主的で積極的な参画と協働により、豊かな環境と市民が共生する持続的発展が可能な「すみよい伊勢原づくり」を推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創造について基本理念を定め、市、市民、市民団体、事業者及び旅行者その他の滞在者の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって現在及び将来の市民の健康で安全かつ文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「良好な環境の保全及び創造」とは、現在及び将来において市民が健康を維持し、安全で快適かつ文化的な生活を営むことができるよう環境を良好な状態に保持し、及び失われた本来あるべき良好な状態に環境を回復し、又は再生することをいう。

2 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

3 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で安全かつ文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造(以下「良好な環境の保全等」という。)は、将来の世代へ継承していかなければならない。

2 良好な環境の保全等は、恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な社会が構築されることを旨とし、豊かな自然環境を保全し、環境と市民の共生が実現されるように行われなければならない。

3 良好な環境の保全等は、市、市民、市民団体、事業者及び旅行者その他の滞在者の日常生活又は事業活動において行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。

2 市は、良好な環境の保全等に関する施策で、広域的な取組を必要とするものについては、国、県及び他の地方公共団体との連携及び協力に努めなければならない。

3 市は、環境に影響を与える施策の策定及び実施に当たっては、良好な環境の保全等に配慮し、市民の意見を聴取し、環境への負荷の低減その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

4 市は、自ら行う事業の実施に当たっては、環境への負荷の低減に積極的に努めなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、市は、市民、市民団体、事業者及び旅行者その他の滞在者と協働し、環境保全活動に努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、住み良い生活環境を築くため、自らの行動によって良好な環境を損なうことのないよう互いに配慮するとともに、日常生活において、資源及びエネルギー等の使用並びに廃棄物等の排出による環境への負荷の低減に積極的に取り組まなければならない。

2 市民は、基本理念にのっとり、市が行う良好な環境の保全等に関する施策並びに市民団体及び事業者が行う活動に協力しなければならない。

(市民団体の役割)

第6条 市民団体は、基本理念にのっとり、市民の先導的な役割を担うよう市民が参画できる体制の整備、情報の提供及び活動機会の充実等を図るように努めるものとする。

2 市民団体は、環境保全活動を積極的に推進するとともに、市、市民及び事業者と協働し、良好な環境の保全等に関わる活動に努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、環境への負荷の低減に努めるとともに、公害の発生を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、公害その他良好な環境の保全等に支障を及ぼす事象が生じたときは、誠意をもってその解決に当たらなければならない。

3 事業者は、資源及びエネルギー等の有効利用を図るとともに、廃棄物の発生の抑制等を推進し、環境に配慮した原材料、役務等を利用することにより、環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

4 事業者は、その事業活動に係る製品その他の物が不用となった場合に、適正に循環的な利用が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

5 前各項に定めるもののほか、事業者は、地域における良好な環境の保全等に資するよう自ら努めるとともに、市、市民、市民団体及び旅行者その他の滞在者と協働し、良好な環境の保全等に関わる活動に努めなければならない。

(旅行者その他の滞在者の責務)

第8条 旅行者その他の滞在者は、基本理念にのっとり、本市への滞在等に伴う環境への負荷の低減その他良好な環境の保全等に努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全等に関する施策に協力しなければならない。

第2章 基本的な施策

(基本施策)

第9条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項に基づき、良好な環境の保全等に関する施策を推進するものとする。

(1) 生態系の多様性を確保するため、動植物の生育環境等に配慮し、森林、農地、河川等における多様な自然環境の適正な保全及び創造に努めること。

(2) 公害その他の環境保全上の支障を未然に防止するとともに、人の健康の保護及び生活環境の保全を図ること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれた生活空間の形成、地域の特性をいかした良好な景観の形成及び歴史的文化的遺産が保存される良好な都市環境の形成を図ること。

(4) 循環型社会の構築を図るため、廃棄物の減量及び資源化が促進されるよう必要な措置を講ずること。

(5) 公共施設の建設及び維持管理に当たっては、資源・エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるよう必要な措置を講ずること。

(6) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用の促進を図るため、必要な措置を講ずること。

(7) 地球環境の保全において、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものとの認識の下に、市民、市民団体、事業者及び旅行者その他の滞在者(以下「市民等」という。)と協働して地球温暖化対策に関する施策を推進すること。

(8) 前号の場合において、市は、自ら率先して温室効果ガスの排出の抑制を図ること。

(環境基本計画の策定)

第10条 市長は、前条の施策を総合的かつ計画的に実施するため、伊勢原市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全等に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向

(2) 良好な環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民等の意見を反映するための必要な措置を講ずるとともに、伊勢原市附属機関に関する条例(昭和41年伊勢原市条例第5号)別表に規定する伊勢原市環境対策審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画を変更する場合について準用する。

(行動計画の策定等)

第11条 市長は、環境基本計画に基づき、市及び市民等がそれぞれの役割に応じて、良好な環境の保全等に配慮した具体的な行動を促進するための行動計画を策定するよう努めなければならない。

2 市及び市民等は、日常生活や事業活動において前項の行動計画に従い、環境に配慮した行動に努めるものとする。

(年次報告)

第12条 市長は、環境の状況及び良好な環境の保全等に関して講じた施策等に関する年次報告書を作成し、これを公表するものとする。

2 市長は、年次報告書について伊勢原市環境対策審議会の意見を聴かなければならない。

第3章 効果的推進のための施策

(環境教育の充実及び環境学習の振興)

第13条 市は、市民及び事業者が良好な環境の保全等についての理解を深め環境に配慮した生活又は行動が促進されるよう環境教育の充実及び環境学習の振興に努めるものとする。

2 市は、環境教育の充実及び環境学習の振興を図るため、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。

(1) 機会の提供、人材の育成、啓発活動の充実

(2) 教育機関、市民、市民団体及び事業者との連携による環境教育の充実及び環境学習の振興

(3) 知識等の普及及び啓発、市民等からの相談への対応、市民相互の交流の機会の充実等

3 市民及び市民団体は、環境に配慮した活動を自ら実践できるよう環境教育及び環境学習に主体的に取り組むものとする。

4 事業者は、環境教育及び環境学習を通じて事業所の従業員の環境への意識を高めるよう努めるものとする。

(教育機関の責務)

第14条 教育機関は、市及び市民等と連携して、良好な環境の保全等に関する施策を積極的に推進するよう努めなければならない。

2 教育機関は、知識、技術、情報、施設、設備及び人材を積極的に提供し、良好な環境の保全等に関する施策に参加し、協力するよう努めなければならない。

(情報の提供)

第15条 市は、環境教育の充実及び環境学習の振興並びに市民等の自発的な活動の促進に資するため、環境の状況その他の良好な環境の保全等に関する必要な情報を適切に提供又は公開するよう努めるものとする。

(規制等の措置)

第16条 市は、良好な環境の保全に支障を来すことを防止するため、必要な規制等の措置を講ずるものとする。

(監視等の体制の整備)

第17条 市は、環境の状況を把握し、良好な環境の保全等に関する施策を適正に実施するため、環境に係る監視、測定等の体制を整備するよう努めるものとする。

(調査及び研究の実施)

第18条 市は、良好な環境の保全等に関する施策を適正に推進するため、環境の状況を把握するとともに、必要な調査及び研究に努めるものとする。

(財政上の措置)

第19条 市は、良好な環境の保全等に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(経済的措置)

第20条 市は、市民等が環境への負荷の低減を図るために行う施設の整備、その他良好な環境の保全等に関する活動が促進されるよう助成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第21条 市は、良好な環境の保全等に関する施策を総合的に推進するための必要な体制を整備するものとする。

第4章 雑則

(環境対策審議会の調査審議)

第22条 市長は、第10条第3項及び第12条第2項に規定するほか市の環境対策に関する重要な事項については、伊勢原市環境対策審議会の調査審議に係る意見を聴かなければならない。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、平成22年4月1日から施行する。

伊勢原市環境基本条例

平成22年3月24日 条例第5号

(平成22年4月1日施行)