○伊勢原市文化財保護条例

平成25年3月25日

条例第13号

伊勢原市文化財保護条例(昭和38年伊勢原市条例第24号)の全部を改正する。

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 文化財の調査(第5条―第7条)

第3章 文化財の指定及び登録(第8条―第11条)

第4章 文化財の保存及び管理(第12条―第28条)

第5章 埋蔵文化財の保護(第29条―第32条)

第6章 文化財の活用(第33条―第38条)

第7章 文化財保護審議会(第39条―第43条)

第8章 補則(第44条)

附則

秀峰、大山の麓に広がる伊勢原市は、温暖な気候に育まれた緑あふれるまちである。その恵まれた環境が人々の暮らしを支え、今に至る永い歴史を培ってきた。

旧石器時代の太古から人々が暮らし、丘陵地には縄文時代の集落、山裾には県下随一の副葬品を誇る古墳が築かれた。鎌倉幕府と縁の深い社寺も多く、太田道灌が活躍した戦乱の世を経て、江戸時代には大山詣りの参詣客でにぎわった。こうした先人たちの歩みを語るのが文化財である。

地域の文化、文化財は、過去にも天災や人災による存亡の危機に直面してきた。また、戦後の急激な社会変化は暮らしを豊かにした反面、地域社会を変え、永く育まれてきた伝統文化に重大な影響を与えた。今、その流れを振り返る中で、私たちは地域のつながりを支える文化の大切さを認識している。

伊勢原市は、首都圏の近郊都市として成長を遂げてきた。また、今後の広域幹線道路の整備や少子高齢社会の進展等、都市及び社会構造の変化が更なる地域の変革をもたらすと予想されている。

地域の文化と文化財を守り、未来へと引き継ぐことは、今を生きる市民の責務であり、私たちが目指す文化の香り高い都市の創造へと続く一歩となる。

この認識のもと、文化財の適切な保存、継承、更にまちづくりへの活用に資するため、市、市民、事業者及び文化財の所有者が役割を認識し、自主的な参画が図られることを目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項及び第3項の規定に基づき、伊勢原市(以下「市」という。)の区域内に存する文化財について、その保存及び活用のために必要な措置を講じ、もってその継承を図り、市民の郷土に対する理解を深めるとともに、市民の文化の向上及び発展に貢献することを目的とする。

(令4条例11・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 文化財 有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(2) 有形文化財 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料をいう。

(3) 無形文化財 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いものをいう。

(4) 民俗文化財 次に掲げるものをいう。

 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能又は民俗技術で、生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「無形民俗文化財」という。)

 無形民俗文化財に用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「有形民俗文化財」という。)

(5) 記念物 次に掲げるものをいう。

 貝塚、古墳、城館跡、社寺跡、集落跡その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの

 庭園、峡谷、山岳その他の名勝地で芸術上又は鑑賞上価値の高いもの

 動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの

(6) 埋蔵文化財 土地に埋蔵されている文化財をいう。

(市等の責務)

第3条 市は、文化財が郷土の歴史、文化、自然等を理解するために欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上、発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存及び活用が適切に行われるよう努めなければならない。

2 伊勢原市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の目的を達成するため、文化財の保存及び活用に関する指針を定め、文化財の調査及び研究、その保存及び活用に関する情報の提供、文化財に関わる市民の自主的な活動の支援その他の文化財の保存及び活用に関する施策を計画的に遂行するよう努めなければならない。

3 教育委員会は、市の区域内に存する文化財の所有者その他の関係者に対し、その保存及び活用に関し適切な指導又は助言を行うよう努めなければならない。

4 教育委員会は、この条例の執行に当たっては、文化財の所有者その他の関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保存及び活用と他の公益との調整に留意しなければならない。

(市民等の責務)

第4条 市民等(市内に住所を有する者、市内に土地を有する者又は市内で事業を営む者をいう。)は、市及び教育委員会がこの条例の目的を達成するために行う措置に誠実に協力するよう努めなければならない。

2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が市民にとって貴重な財産であることを認識し、これを公共のために適切に保存するとともに、これを公開する等、その活用に努めなければならない。

第2章 文化財の調査

(調査)

第5条 教育委員会は、文化財の保存及び活用の根幹となる調査、研究に努めるものとする。

2 教育委員会は、文化財の保存及び活用に関し必要があると認めるときは、その所有者、権原に基づく占有者、保持者又は保持団体(無形文化財又は無形民俗文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)の同意を得て、その文化財を調査することができる。

(資料の収集)

第6条 教育委員会は、文化財に関する資料を広く収集し、その情報を整理するよう努めるものとする。

(市の区域外に移動した文化財の把握)

第7条 教育委員会は、郷土の歴史や文化を知る上で必要があると認めるときは、市の区域外に移動した文化財について、その所在及び現状の把握に努めるものとする。

第3章 文化財の指定及び登録

(指定)

第8条 教育委員会は、市の区域内に存する文化財(法及び神奈川県文化財保護条例(昭和30年神奈川県条例第13号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けたものを除く。)のうち、市にとって歴史上、芸術上、学術上又は鑑賞上価値が高いもの、その他教育委員会が重要と認めるものを次に掲げる伊勢原市指定文化財(以下「市指定文化財」という。)に指定することができる。

(1) 伊勢原市指定有形文化財 第2条第2号に該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定有形文化財」という。)

(2) 伊勢原市指定無形文化財 第2条第3号に該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定無形文化財」という。)

(3) 伊勢原市指定無形民俗文化財 第2条第4号アに該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定無形民俗文化財」という。)

(4) 伊勢原市指定有形民俗文化財 第2条第4号イに該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定有形民俗文化財」という。)

(5) 伊勢原市指定史跡 第2条第5号アに該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定史跡」という。)

(6) 伊勢原市指定名勝 第2条第5号イに該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定名勝」という。)

(7) 伊勢原市指定天然記念物 第2条第5号ウに該当するもののうち教育委員会が指定したもの(以下「市指定天然記念物」という。)

2 教育委員会は、市指定有形文化財、市指定有形民俗文化財、市指定史跡、市指定名勝及び市指定天然記念物(以下「市指定有形文化財等」という。)を指定するときは、あらかじめ指定しようとする有形文化財、有形民俗文化財及び記念物の所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。ただし、所有者等が判明しないときは、この限りでない。

3 教育委員会は、市指定無形文化財及び市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形文化財等」という。)を指定するに当たっては、当該文化財の保持者又は保持団体(以下「保持者等」という。)を認定しなければならない。

4 前項の規定により市指定無形文化財等の保持者等を認定するときは、あらかじめ認定しようとする無形文化財又は無形民俗文化財の保持者等(保持団体にあっては、その代表者)の同意を得なければならない。

5 教育委員会は、市指定無形文化財等の指定をした後においても、当該市指定無形文化財等の保持者等として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者等として追加認定することができる。

6 第4項の規定は、前項の規定による追加認定について準用する。

7 教育委員会は、第1項の規定による指定、第3項の規定による認定又は第5項の規定による追加認定(次条において「指定等」という。)をしたときは、市指定有形文化財等にあってはその所有者に指定書を、市指定無形文化財等にあっては保持者等に認定書を交付しなければならない。

(告示等)

第9条 指定等は、その旨を告示するとともに、市指定有形文化財等にあっては当該市指定有形文化財等の所有者等に、市指定無形文化財等にあっては当該市指定無形文化財等の保持者等として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知して行う。ただし、前条第2項ただし書による場合は、告示をもって足りるものとする。

2 指定等は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

(登録)

第10条 教育委員会は、市の区域内に存する文化財(法又は県条例の規定による指定又は登録を受けたもの及び市指定文化財を除く。)のうち、市の歴史及び文化を知る上で必要であり、教育委員会が保存及び活用のための措置が必要と認めるものを次に掲げる伊勢原市登録文化財(以下「市登録文化財」という。)として登録することができる。

(1) 伊勢原市登録有形文化財 第2条第2号に該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録有形文化財」という。)

(2) 伊勢原市登録無形文化財 第2条第3号に該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録無形文化財」という。)

(3) 伊勢原市登録無形民俗文化財 第2条第4号アに該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録無形民俗文化財」という。)

(4) 伊勢原市登録有形民俗文化財 第2条第4号イに該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録有形民俗文化財」という。)

(5) 伊勢原市登録史跡 第2条第5号アに該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録史跡」という。)

(6) 伊勢原市登録名勝 第2条第5号イに該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録名勝」という。)

(7) 伊勢原市登録天然記念物 第2条第5号ウに該当するもののうち教育委員会が登録したもの(以下「市登録天然記念物」という。)

2 第8条第2項から第7項まで及び前条の規定は、前項の規定による文化財の登録について準用する。この場合において、第8条第7項の規定中「指定書」とあるのは「登録書」と読み替えるものとする。

(令4条例11・一部改正)

(指定等の解除等)

第11条 教育委員会は、市指定文化財又は市登録文化財がその価値を失ったときその他特別の理由があるときは、その指定又は登録を解除することができる。

2 教育委員会は、市指定無形文化財等又は市登録無形文化財及び市登録無形民俗文化財(以下「市登録無形文化財等」という。)の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められるときその他特別の理由があるときは、その認定を解除することができる。

3 市指定文化財が法又は県条例の規定による指定を受けたときは、当該文化財の指定は、解除されたものとする。

4 市登録文化財が法若しくは県条例の規定による指定若しくは登録又はこの条例の規定による指定を受けたときは、当該文化財の登録は、解除されたものとする。

5 第1項の規定による指定又は登録の解除、第2項の規定による認定の解除、第3項の規定による指定の解除及び前項の規定による登録の解除の告示等については、第9条の規定を準用する。

6 前項で準用する第9条第1項の規定による指定又は登録の解除の通知を受けた者は、速やかに指定書、登録書又は認定書を教育委員会に返付しなければならない。

7 市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の保持者が死亡したとき又はその保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この項において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、その保持者のすべてが死亡したとき又はその保持団体のすべてが解散したときは、当該市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の指定又は登録は解除されたものとする。この場合において、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

(令4条例11・一部改正)

第4章 文化財の保存及び管理

(教育委員会による指導)

第12条 教育委員会は、市指定文化財又は市登録文化財の適切な保存、管理のため、その保存状況を把握するとともに、その所有者又は保持者等に対し、適切な指導又は助言を行うものとする。

(所有者の管理義務及び管理責任者の選任)

第13条 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財、市登録有形民俗文化財、市登録史跡、市登録名勝及び市登録天然記念物(以下「市登録有形文化財等」という。)の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等を管理しなければならない。

2 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者は、特別の理由があるときは、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を変更し、又は解任したときも、同様とする。

4 第1項の規定は、管理責任者について準用する。

(所有者の変更等の届出)

第14条 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(滅失、き損等の届出)

第15条 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者(管理責任者があるときは、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更等の届出)

第16条 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所在の場所を変更しようとするときは、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者(管理責任者があるときは、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合は、この限りでない。

2 市指定史跡、市指定名勝若しくは市指定天然記念物の指定地域内又は市登録史跡、市登録名勝若しくは市登録天然記念物の登録地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったときは、当該土地の所有者(管理責任者があるときは、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(保持者の氏名変更等の届出)

第17条 市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の保持者が氏名若しくは住所を変更したとき又は死亡したときその他教育委員会規則で定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。

(管理、修理又は保存に関する勧告等)

第18条 教育委員会は、市指定有形文化財等の管理が適当でないため当該市指定有形文化財等が滅失し、若しくはき損し、又はこれを盗み取られるおそれがあると認めるときは、当該市指定有形文化財等の所有者又は管理責任者に対し、その管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 教育委員会は、市指定有形文化財等がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、当該市指定有形文化財等の所有者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。

3 教育委員会は、市指定無形文化財等の保持者等その保存に当たることを適当と認めるものに対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

(管理、修理又は保存のための補助)

第19条 市は、市指定有形文化財等の管理又は修理につき多額の費用を要し、市指定有形文化財等の所有者がその負担に堪えないときその他特別の理由があるときは、その費用の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 市は、市指定無形文化財等の保存のため必要があると認めるときその他特別の理由があるときは、その費用の一部に充てさせるため、当該保持者等に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

3 教育委員会は、前2項の規定により補助金を交付する場合は、その補助の条件として管理、修理又は保存に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理、修理又は保存について指揮監督することができる。

(通常の維持管理又は保存のための補助)

第20条 市は、市指定有形文化財等の通常の維持管理のため必要があると認めるときは、その費用の一部に充てさせるため、当該市指定有形文化財等の所有者又は管理責任者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 市は、市指定無形文化財等の通常の保存のため必要があると認めるときは、その費用の一部に充てさせるため、当該市指定無形文化財等の保持者等に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

(法及び県条例の規定による指定を受けた文化財に対する補助)

第21条 市は、必要があると認めるときは、法及び県条例の規定による指定を受けた文化財の管理、修理、復旧、公開その他保存及び活用に要する費用について予算の範囲内で補助金を交付することができる。

(勧告に基づく補助)

第22条 市は、第18条第1項又は第2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用の一部に充てさせるため、当該市指定有形文化財等の所有者又は管理責任者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 教育委員会は、前項の規定により補助金を交付する場合は、その補助の条件として措置又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該措置又は修理について指揮監督することができる。

(補助金の返還等)

第23条 市は、第19条第1項若しくは第2項第20条第21条又は第22条第1項の規定による補助金の交付を受けるものが次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又はそのものに対し既に交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 補助の条件に従わなかったとき。

(2) 偽りその他不正の手段により補助金の交付を受け、又は受けようとしたとき。

(3) 補助を受けた目的以外に補助金を使用したとき。

(4) 前3号に掲げるもののほか、管理、修理又は保存に関し法令、県条例又はこの条例に違反したとき。

(現状変更等の制限)

第24条 市指定有形文化財等に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為(以下「現状変更等」という。)を行おうとする者は、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置をとるとき、保存に影響を及ぼす行為については影響が軽微であるときは、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状変更等に関し必要な指示をすることができる。

4 教育委員会は、第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、当該許可に係る現状変更等の停止を命じ、又は当該許可を取り消すことができる。

5 市は、第1項の許可を受けることができなかったことにより又は第3項の許可の条件を付せられたことにより損失を受けた者に対し、その通常生ずべき損失を補償する。

(現状変更等の届出)

第25条 市登録有形文化財等に関し現状変更等を行おうとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 教育委員会は、必要があると認めるときは、前項の届出に係る現状変更等に関し必要な指示をすることができる。

(修理の届出)

第26条 市指定有形文化財等を修理しようとするときは、所有者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第19条第1項第22条第1項の規定による補助金の交付又は第24条第1項の規定による許可を受けて修理を行う場合はこの限りでない。

2 教育委員会は、市指定有形文化財等について必要があると認めるときは、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言をすることができる。

(現状等の報告)

第27条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者又は管理責任者に対し、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の現状、管理又は修理の状況について報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第28条 市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合において、旧所有者は、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の引渡しと同時にその指定書又は登録書を新所有者に引き渡さなければならない。

第5章 埋蔵文化財の保護

(埋蔵文化財包蔵地の周知)

第29条 教育委員会は、法第93条第1項に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)で市の区域内に存するものに関し、資料を整備するとともにその周知を図るために必要な措置の実施に努めなければならない。

(周知の埋蔵文化財包蔵地における土木工事等に関する協議等)

第30条 教育委員会は、市の区域内に存する周知の埋蔵文化財包蔵地において、土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で土地の掘削等(以下「土木工事等」という。)を行おうとする者から、法第93条第1項において準用する法第92条第1項の規定による届出又は法第94条第1項の規定による通知で県条例及び神奈川県文化財保護条例の施行等に関する規則(昭和51年神奈川県教育委員会規則第14号。次条において「県規則」という。)の規定により市が処理することとされた届出又は通知を受理したときは、当該届出又は通知に係る埋蔵文化財の現況を調査(試掘調査を含む。以下「現況調査」という。)し、並びに当該埋蔵文化財の取扱い及び事業計画等について、当該届出をした者又は通知をした者と協議を行うものとする。

(遺跡の発見に関する協議等)

第31条 教育委員会は、出土品の出土等により遺跡と認められるものを発見した土地の所有者又は占有者から、法第96条第1項において準用する法第92条第1項の規定による届出又は法第97条第1項の規定による通知で県条例及び県規則の規定により市が処理することとされた届出又は通知を受理したときは、当該届出又は通知に係る埋蔵文化財の現況調査を行い、並びに当該埋蔵文化財の取扱い及び事業計画等について、当該届出をした者又は通知をした者と協議を行うものとする。

(埋蔵文化財の保護への協力)

第32条 前2条に規定する届出者又は通知者は、埋蔵文化財の現況調査、発掘調査の実施、工事実施中に教育委員会が行う立会等、教育委員会が埋蔵文化財の保護上必要があると認める措置に協力するよう努めなければならない。

第6章 文化財の活用

(教育委員会による活用)

第33条 教育委員会は、法、県条例及びこの条例の規定により指定又は登録を受けた文化財の所有者等又は保持者等の同意を得た上で、その活用に努めるものとする。

(勧告に基づく公開)

第34条 教育委員会は、市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者等に対し、教育委員会が行う公開の用に供するため、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の出品又は公開を勧告することができる。この場合において、出品又は公開の期間は、所有者等との同意に基づく期間とする。

2 教育委員会は、市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の保持者等に対し、教育委員会が行う公開の用に供するため、当該市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の公開を勧告することができる。この場合において、公開の期間は、保持者等との同意に基づく期間とする。

3 教育委員会は、市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所有者等に対し、3月以内の期限を限って、当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の公開を勧告することができる。

4 教育委員会は、市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の保持者等に対し、当該市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の公開を勧告することができる。

5 教育委員会は、市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。

6 教育委員会は、第1項の規定により市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等が出品されたときは、その職員のうちから当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。

7 第1項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等が滅失し、又はき損したときは、市はその所有者に対し、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者又は管理責任者の責に帰すべき理由によって滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。

8 教育委員会は、第3項の規定による公開及び当該公開に係る市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。

9 第3項の規定による公開の場合を除き、市指定有形文化財等又は市登録有形文化財等の所在の場所を変更してこれを公開の用に供するため第16条第1項の規定による届出があった場合は、前項の規定を準用する。

(標識等の設置)

第35条 教育委員会は、市指定文化財又は市登録文化財のうち、必要があると認めるものについて、当該文化財の所有者等又は保持者等の同意を得て、標識、説明板その他の施設を設置し、これを当該文化財の所有者又は管理責任者、保持者等に管理させることができる。

(学習機会の提供)

第36条 教育委員会は、市民が文化財に親しみ、文化財についての理解及び関心を深めることができるよう、学習の機会を提供するよう努めるものとする。

(人材等の育成)

第37条 教育委員会は、地域で文化財を継承していく環境づくりを目指すため、文化財の保存及び活用の実践的な活動をする人材及び団体の育成に努めるものとする。

2 教育委員会は、学校と連携をとりながら、文化財を地域教材として活用する等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(関係機関等との相互連携)

第38条 教育委員会は、文化財の保存及び活用に関し、学校教育、社会教育、文化、観光等の関係機関及び市民団体が行う教育文化活動との相互連携を図るとともに、その活動を支援するよう努めるものとする。

第7章 文化財保護審議会

(設置等)

第39条 文化財の適切な保存及び活用を図るため、法第190条第1項の規定に基づき、教育委員会に伊勢原市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、教育委員会の諮問に応じ、文化財の保存及び活用に関する重要事項を調査審議し、教育委員会に答申するほか、これらの事項について教育委員会に建議することができる。

3 教育委員会は、次に掲げる事項について、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。

(1) 文化財の保存と活用に関する指針又は計画の策定及び変更

(2) 市指定文化財の指定及びその解除

(3) 市登録文化財の登録及びその解除

(4) 市指定無形文化財等又は市登録無形文化財等の保持者等の認定及びその解除

(5) 前各号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める事項

(組織)

第40条 審議会は、委員10人以内をもって組織し、文化財に関し識見を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。

2 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

4 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

5 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

6 特別の事項を審議するため、必要があると認めるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

7 臨時委員の任期は、当該特別の事項の調査審議が終了したときをもって終了する。

(審議会の会議等)

第41条 審議会は、会長が招集し、その議長となる。

2 審議会は、委員(臨時委員を含む。以下同じ。)の過半数の出席がなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

(意見の聴取等)

第42条 審議会は、会議の運営上必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見を聴き、又は委員以外の者から資料の提出を求めることができる。

(部会)

第43条 審議会に専門的事項を調査研究するため、部会を置くことができる。

第8章 補則

(委任)

第44条 この条例の施行について必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の伊勢原市文化財保護条例(次項において「改正前の条例」という。)第3条の規定により、次の表の左欄に掲げる種別の伊勢原市指定重要文化財と指定されている市の文化財は、この条例による改正後の伊勢原市文化財保護条例(次項において「改正後の条例」という。)第8条の規定により、同表の左欄の伊勢原市指定重要文化財の種別に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる市指定文化財として指定されたものとみなす。

指定重要文化財

指定有形文化財

指定無形文化財

指定無形民俗文化財

指定有形民俗文化財

市指定史跡

指定史跡

名勝

指定名勝

天然記念物

指定天然記念物

3 この条例の施行の際現に改正前の条例第13条第2項の規定により委嘱されている伊勢原市文化財保護委員会委員は、改正後の条例の規定により委嘱された伊勢原市文化財保護審議会委員とみなす。

(伊勢原市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 伊勢原市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和49年伊勢原市条例第21号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和4年2月25日条例第11号)

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の伊勢原市文化財保護条例第10条の規定により登録されている市登録文化財は、この条例による改正後の伊勢原市文化財保護条例第10条の規定により市登録文化財として登録されたものとみなす。

伊勢原市文化財保護条例

平成25年3月25日 条例第13号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第7編 育/第4章 文化財
沿革情報
平成25年3月25日 条例第13号
令和4年2月25日 条例第11号