講演・スピーチ 平成30年市長施政方針

公開日 2018年02月23日

更新日 2018年02月23日

施政方針

とき:平成30年2月21日

ところ:平成30年3月定例会

平成30年度一般会計及び各特別会計予算案を御審議いただくに当たり、その概要及び市政運営に関します所信の一端と、主な施策の大綱につきまして申し述べます。

平成30年度は、第5次総合計画後期基本計画の初年度であります。前期5か年で獲得した成果を礎に、「しあわせ創造都市 いせはら」の実現に向け、議員を始め、市民の皆様とともに、新しいスタートの年といたしたいと考えております。後期基本計画におきましては、新たにリーディングプロジェクトを位置付け、「健康づくり」、「観光振興」、「新たな土地利用」及び「子育て環境づくり」の4つの施策を重点に市政推進を図ってまいりたいと思います。「市民目線」と「現場主義」を念頭に、引き続き、「連携・連動推進チーム」を中心に関係する市民の皆様や団体とも連携・協働し、効果的に施策の成果を獲得することで、市民福祉の向上はもとより、直面する諸課題にスピード感を持って対応してまいります。

さて、我が国の経済状況ですが、景気は、緩やかな回復基調が続いていると言われて、久しいものがあります。これまで、実感なき景気回復とも言われてきましたが、国による様々な対策の効果もあり、平成30年度予算案にあっては、税収、そして国や県からの譲与税や各種交付金について増収を見込みました。しかしながら反面、税収増等に伴い普通交付税等の減収を見込み、加えて、歳出面では、少子高齢社会の進展等を背景に、引き続き、社会保障関連経費の増加を見込まざるを得ず、厳しい財政状況に変わりないと捉えており、一層、気を引き締めた財政運営を図ってまいる所存です。

 

予算編成の基本的な考え方

平成30年度予算案編成に係る基本的な考えにつきまして申し上げます。それは、「財政健全化を進めるとともに、第5次総合計画を着実に推進する」というものであります。少子高齢社会の進展に伴う経済規模縮小による活力の低下が懸念される中、私は、歳出の縮減のみで本市の財政健全化に道筋をつけることはできないと考えております。歳入構造の強化に向けて必要な都市基盤整備や企業誘致など、総合的な取組が必要です。

こうした中、本市を取り巻く環境は、大きく変化しております。市域では、新東名高速道路及び国道246号バイパスの建設が日々進み、念願のインターチェンジ開設もいよいよといった状況です。また、伊勢原駅北口周辺地区整備や東部第二地区土地区画整理事業も目に見える形で事業が進んでまいりました。扶助費など、市民の皆様の暮らしを守るために必要な施策の水準を、まずは維持した上で、今、市を取り巻く変化を的確に捉え、本市の将来にとって必要な投資を継続する予算といたしました。

また、こうした変化の下にあっては、これまで以上に、将来を見通した市政運営、そして財政運営が必要と認識しています。第5次総合計画後期基本計画の中で、今後5年間に取り組む施策について具体の姿をお示ししつつ、「5つの力」を相互に連携させ、効果的にまちづくりを進めてまいります。

予算編成の経過について申し上げます。私は、まず、各部・各課に対しまして、それぞれが所管する事業について、改めて費用対効果の視点を持ってゼロベースで見直すよう指示いたしました。義務的経費につきましては、扶助費が増となったものの、計画的な定員管理の取組により人件費が減、また、新規市債借入れの抑制により公債費が減となりました。こうした取組により、財源配分について、一層の重点化を図ることができたと評価しておりますが、最終的に、普通交付税の代替財源である臨時財政対策債と必要最小限の財政調整基金繰入金を計上し、平成30年度予算案といたしました。

このような予算案編成経過でありましたが、財政調整基金につきましては、災害など不測の事態における初動対応への備えとして、また、第5次総合計画後期基本計画を着実に実施していくなど、計画的に財政運営を図っていくため、積み増しに努めながら、必要な残高を確保することができました。また、負債の面では、市債残高及び公社債務を縮減し、着実に将来世代の財政負担を軽減することができ、持続可能な都市の実現に向け、財政健全化に成果のある予算といたしました。

平成30年度は、広域幹線道路整備の進ちょくなど、本市を取り巻く環境のほか、2度にわたって延期された消費税税率10%への引上げや新元号の施行を翌年に控え、また、東京オリンピックの開催を翌々年に控えるなど、様々な変化が進んでまいります。また、全国的な人口減少・少子高齢社会の進展も確実です。このほか、平成29年度におきましても、自然災害が、全国的に散発いたしました。切迫する自然災害に対して、市民の皆様には、安全・安心意識の高まりも顕著と認識しております。平成30年度は、国際情勢や景気動向も含め、期待の反面、不安も多い年と捉えております。

こうした状況にあって、将来を見通し、変化を好機と捉え、あるいは柔軟に対応し、また、備えを進めるなどして、市民の皆様に安心と希望をお持ちいただけるよう、市政運営に取り組んでまいります。平成30年度も、引き続き、「住み続けたい」あるいは「住んでみたい」と実感していただける「選ばれるまち伊勢原」そして、伊勢原に住み、伊勢原で学び、伊勢原で働き、そして、伊勢原を訪れる誰もが、それぞれのお立場でそれぞれの「しあわせ」を実感することができる「しあわせ創造都市 いせはら」の実現を目指してまいりたいと思います。今後とも、市政発展のため、全力を尽くす所存です。

予算規模

本議会に提出いたしました平成30年度一般会計及び各特別会計予算案の概要につきまして、御説明いたします。なお、金額につきましては、100万円単位といたしますことを御了承願います。また、比較増減は、平成29年度当初予算に対するものであります。

まず、予算規模につきまして申し上げます。

一般会計の予算額は320億4,700万円で、1.6%、5億1,400万円増となりました。
これは、子ども・子育て支援給付費や生活保護費、障害者自立支援給付費など扶助費の増のほか、公共施設等総合管理計画に基づく取組や新東名高速道路伊勢原北インターの開設や高架下利活用に係る所要の経費、また、保育の受け皿の拡充や防災機能を持った公園の整備など直面する諸課題への対応に係る経費の計上等によるものです。

特別会計の予算額は、5会計合計で232億8,900万円で、マイナス4.5%、11億700万円減となりました。
一般会計と特別会計を合わせた全会計の予算額は553億3,600万円で、マイナス1.1%、5億9,300万円減です。

次に、一般会計予算の概要につきまして申し上げます。 まず、歳入の状況です。

  • 一般財源額は、214億5,500万円で、マイナス0.4%、8,200万円減となりました。市税及び譲与税・各種交付金が増の一方、地方交付税及び臨時財政対策債や市有土地売払い収入の減等によるものです。

続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。

  • 市税は、2.8%、4億6,400万円増となりました。 法人市民税について、市内主要法人の収益改善等により、27.3%、4億500万円増、また、個人市民税について、給与所得金額の増等に伴い、1.6%、1億500万円増を見込んだことなどによるものです。
  • 地方譲与税、地方交付税及び各種交付金につきましては、平成29年度の決算見込みなどを基に計上し、マイナス1.7%、4,900万円減を見込んでいます。主に、普通交付税の減によるものです。
  • 国庫支出金は、子ども・子育て支援給付費や生活保護費など扶助費に加え、民間保育所等に対する整備補助に伴い、4.8%、2億6,700万円増となりました。
  • 財産収入は、市営小山住宅跡地売払いの完了等により、マイナス91.8%、1億7,900万円減となりました。
  • 繰入金は、マイナス9.5%、5,300万円減となりました。財政調整基金繰入金の減等によるものです。
  • 市債は、マイナス6.2%、1億500万円減となりました。臨時財政対策債の減等によるものです。

続きまして、歳出につきまして、性質別に主な内容を申し上げます。

  • 人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、3.7%、6億3,600万円増となりました。人件費及び公債費が減の一方、扶助費が増となったことによるものです。
  • 維持補修費は、29.0%、6,100万円増となりました。庁舎維持管理費及び小学校施設維持管理費の工事請負費が増となったことなどによるものです。
  • 普通建設事業費は、マイナス1.6%、4,900万円減となりました。民間保育所等整備補助に伴う増の一方、事業進ちょくに伴い都市計画道路田中笠窪線整備事業費が減となったほか、東富岡公園テニスコート改修工事が完了したことなどによるものです。

続きまして、各特別会計予算の概要につきまして申し上げます。

  • 国民健康保険事業特別会計は、マイナス15.5%、18億9,100万円減となりました。

国保制度改正に伴い、予算規模が縮小したことなどによるものです。一般会計からの繰入金は、9,200万円減となりました。

  • 下水道事業特別会計は、9.8%、4億3,600万円増となりました。

公共下水道管渠整備事業費の増などによるものです。一般会計からの繰入金は、1,900万円増となりました。

  • 用地取得事業特別会計は、100.0%、100万円増となりました。

伊勢原駅前線整備事業用地取得事業債利子の増によるものです。一般会計からの繰入金は、100万円増となりました。

  • 介護保険事業特別会計は、4.4%、2億8,700万円増となりました。

居宅介護サービスなど保険給付費の増などによるものです。一般会計からの繰入金は、5,700万円増となりました。

  • 後期高齢者医療事業特別会計は、5.1%、6,000万円増となりました。

制度改正等による保険料等納付金の増などによるものです。一般会計からの繰入金は、600万円増となりました。

平成30年度 主な施策

平成30年度の主な施策につきまして、第5次総合計画中期戦略事業プランの「暮らし力」、「安心力」、「活力」、「都市力」、「自治力」の5つの施策体系に沿って御説明いたします。
 

「暮らし力」の施策

「生涯にわたって健康に暮らせるまちづくり」の取組

医療機関等との連携による医療講座や食育推進のための各種教室の開催、「健康バスによる測定会」を通じた生活習慣病の予防のほか、がんの早期発見・早期治療に繋げるがん健診受診率向上の取組などにより、「こころと体の健康づくり」を推進いたします。

また、医療機関の間の役割分担を周知し、「かかりつけ医」の普及定着に取り組み、「安心できる地域医療体制の充実」を図ります。

「みんなで支え合う福祉のまちづくり」の取組

高齢者の社会参加の場である介護支援ボランティアポイント制度を通じた介護予防の推進や地域包括支援センターの増設などにより、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を営めるよう、「高齢者の地域生活支援の充実」を図ります。

「子どもを産み育てやすいまちづくり」の取組

教育及び保育環境の拡充と待機児童の解消を図るため、認定こども園及び民間保育所整備を支援し、「多様な働き方が選択できる保育の充実」を推進いたします。

「子どもや若者の成長と自立を支えるまちづくり」の取組

子どもたちが、放課後に安全に過ごせる場を充実するため、放課後子ども教室を増設し、「次代を担う子ども・若者の育成支援」を推進いたします。

「子どもの生きる力をはぐくむまちづくり」の取組

小学校における教科担当制や外国語指導助手の配置拡充に取り組むほか、複雑・多様化する相談に適時・適切な対応を図るため教育相談の充実を図るなど、「きめ細やかな教育」を推進いたします。

「いつまでも学び生きがいがもてるまちづくり」の取組

スポーツ広場の充実や各種競技大会の実施のほか、年少者や初心者、また障がいのある方がスポーツに親しめる機会を増やすなど、「誰もが親しめるスポーツ活動」を推進いたします。
   

「安心力」の施策

「災害から市民のいのちを守るまちづくり」の取組

防災行政用無線屋外子局のデジタル化を計画的に進めるとともに、桜台地区に防災機能を備えた街区公園の整備を進めるなど、「いざという時の危機対応力の強化」を推進いたします。

また、公共下水道につきましては、汚水幹線の耐震化やネットワーク化による減災対策とともに、集中豪雨時における浸水被害の軽減対策に取り組み、「被害を最小限に抑える減災対策」を推進いたします。
 

「暮らしの安全を守るまちづくり」の取組

防犯カメラを増設するとともに、「くらし安心メール」の配信メニューの充実を犯罪の未然防止等へ繋げ、「地域とともに取り組む防犯対策」を推進いたします。

また、消火活動に不可欠な消火栓の増設や広域幹線道路開通に伴う救助用資機材の整備により、「迅速で適切な消防・救急体制」を強化いたします。
  

「活力」の施策

「地域の産業が盛んなまちづくり」の取組

企業誘致活動に加え、中小企業の販路拡大や空き店舗活用等による商店街の活性化支援のほか、産学官連携による下肢支援ロボットの「大山詣り」実証実験を継続するなど、「地域を支える商業・工業の振興」を推進いたします。

また、農地の集約を図る担い手農業者や意欲ある若手農業者の支援等を通じ、「地域とつながる都市農業・森林づくり」を推進いたします。

「多くの人が訪れる賑わいのあるまちづくり」の取組

「平成大山講プロジェクト」により大山地区を中心とした地域振興や国際観光地づくりを進めるとともに、日向及び比々多地区において、地域の歴史・文化と豊かな自然を活かした個性的なまちづくりを進めることにより、「魅力ある観光の振興」を推進いたします。

また、地域の若い世代の発想を活かし、シティプロモーション動画の作成に取り組み、地域の新たな魅力の創造へ繋げるなど、「シティプロモーションの推進」に取り組みます。

「都市の骨格を支えるまちづくり」の取組

東部第二土地区画整理地区では、土地区画整理組合に対する技術的援助や財政支援を行うとともに、北インター周辺地区では、土地区画整理組合設立に向けた取組を進めるなど、「地域特性を生かした新たな産業基盤の創出」を推進いたします。

更に、伊勢原駅北口周辺地区については、暫定のタクシー待機所を整備するなど、交通環境改善を推進し、「交流がひろがる拠点の形成」に取り組みます。

 

「都市力」の施策

「安全で円滑な移動ができるまちづくり」の取組

公共交通の利用啓発や情報提供を通じ、「地域公共交通の充実」を図るとともに、誰もが、安全で円滑に移動できるよう、歩道やグリーンベルトを整備するなど、「安全な交通環境の整備」を推進いたします。

「便利で機能的なまちづくり」の取組

都市計画道路田中笠窪線の整備や公共下水道の整備を進め、「都市の機能を高める基盤施設の整備」を推進いたします。

また、公園施設長寿命化計画に基づき、野球場などスポーツ施設の改修や老朽化した遊具の更新を行うとともに、総合運動公園再生修復方針に基づく実施設計を行うなど、「みんなで楽しめる公園づくり」を推進いたします。
 

 

「自治力」の施策

「地域の力が発揮できるまちづくり」の取組

市と市民活動団体等との協働による提案型協働事業や地域集会所の修繕に対する補助等を通じた地域活動の支援等により、「市民協働と地域コミュニティの活性化」を推進いたします。   

また、情報通信技術を活用し、子育てワンストップサービスへ対応を図るなど、「市民に身近な市役所づくり」を推進いたします。

「次代へつながる確かな行財政運営ができるまちづくり」の取組

市税等徴収率の更なる向上に努めるとともに、事業公社経営健全化計画に基づき、債務の計画的な縮減を図り、「健全で安定した財政運営の強化」を推進いたします。

 

以上、第5次総合計画中期戦略事業プランの主な事業につきまして、5つの施策体系に沿って御説明し、平成30年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。


「しあわせ創造都市 いせはら」の実現に向け着実に進んでまいりますので、議員の皆様を始め、市民の皆様の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

細部につきましては、各担当の部長から説明させますので、御審議の上、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

 

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