講演・スピーチ 令和3年市長施政方針

公開日 2021年02月18日

更新日 2021年02月19日

2021市長photo

とき:令和3年2月17日

ところ:令和3年3月定例会

令和3年度伊勢原市予算案を御審議いただくに当たり、その概要及び市政運営に関する所信の一端と、主な施策の大綱につきまして申し述べます。

令和3年は、市制施行50周年を迎え、先人たちから受け継がれてきた恵まれた自然環境や、歴史・文化を次世代へ継承し、さらなる発展へとつなげていく、節目の年となります。 しかしながら、昨年より猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、いまだ収束を見通すことができません。市民の皆様の安全・安心を第一に考え、まずは、ワクチン接種に向けて万全の体制を整え、感染拡大の防止に最優先で取り組んでいかなければならないとの思いを強くしているところでございます。

また、市長として3期目の市政運営を担うに当たり、「しあわせ創造都市 いせはら」をめざして、第5次総合計画に基づくまちづくりの仕上げとともに、次期計画策定に向け、議員の皆様をはじめ、市民の皆様とともに「新たな日常」を踏まえた伊勢原の未来の姿を描いてまいりたいと考えております。

予算編成の基本的な考え方

市民の皆様が安心して暮らしていけるよう、これまで進めてきた諸施策を継続するとともに、広域幹線道路の開通などの環境変化を最大限に活用し、本市の発展につなげるための予算編成に取り組みました。

新型コロナウイルス感染症は、国内経済に深刻な影響を与えましたが、その後、持ち直しの動きが見られることから、国は、厳しい状況は続いているものの、経済対策の円滑で着実な実施により、令和3年度中には経済の水準がコロナ前に回帰すると見込んでいます。

一方で、感染症が国内外の経済を下振れさせるリスク等に注意が必要との見解も示されており、緊急事態宣言が発令されるなど、依然として先行きは不透明な状況です。市内に目を向けますと、二度にわたる緊急事態宣言を経て、経済的にも厳しい状況の中で、多くの市民の皆様が不安を抱えて生活しておられます。

これまで、市民生活の維持や地域経済の立て直しに向け、国や県の対策と合わせて必要な支援に取り組んでまいりましたが、歳入の根幹をなす市税収入では、個人市民税、法人市民税ともに大幅な減少を見込むこととなりました。

こうした状況から、令和3年度予算の編成に当たりましては、多額の財源不足が生じました。全ての事業について削減・休止・中止を前提に検証し、事務経費等を縮減したほか、新規・拡充事業については、緊急性等を十分に精査した上で、厳選して予算に計上しました。

また、国の令和2年度補正予算を最大限に活用し、「15カ月予算」の考え方により、令和3年度に予定していた予算の一部を令和2年度へ前倒して計上し、事業の推進を図りつつ、令和3年度歳出予算の縮減に努めました。

一方、地方自治体の安定的な財政運営を期し、国が地方財政対策を講ずることとしたことから、歳入では、地方交付税や臨時財政対策債について最大限の活用を見込みました。それでもなお財源不足解消には至らず、財政調整基金からの繰入金を計上し、不足する財源を補てんすることといたしました。

なお、財政調整基金につきましては、感染症の状況や近年多発している自然災害、市税収入のさらなる落ち込み等への備えとして必要な残高の確保に努め、最小限度の活用としたところです。

このように、令和3年度予算は、創意と工夫を凝らし、市民サービスへの影響を最小限に抑えつつ、限られた予算を真に必要な施策へ重点配分いたしました。

全ての中学校で給食を実施するほか、老朽化する公共施設等の実態把握に取り組みます。新東名高速道路のトンネル災害に備えた救助用資機材の整備や、(仮称)秦野市・伊勢原市消防共同指令センター整備に向けた設計に取り組むとともに、伊勢原大山インター周辺地区における土地区画整理事業に対する支援や、伊勢原駅北口周辺地区の市街地再開発事業の基本計画の策定など、本市の未来に必要な投資を継続します。

また、将来を見据え、保育所における体調不良児対応型病児保育や小中学校におけるプール授業の民間委託などを試行するほか、小中学校にICT支援員を配置し、教職員をサポートいたします。

コロナ禍にあっても、市民の皆様が安全・安心に、そして希望をもって暮らせるように、職員一丸となって全力で取り組んでまいる所存です。

 

予算規模

令和3年度伊勢原市予算の概要につきまして、御説明いたします。金額は、100万円単位とさせていただきます。また、比較増減は、令和2年度当初予算に対するものとなります。

まず、予算規模について申し上げます。

一般会計の予算額は、328億8,800万円で、15億1,600万円の減となりました。
主な要因といたしましては、都市計画道路田中笠窪線整備事業や舗装打換事業等について、国の補正予算を活用し、令和2年度に前倒して実施するほか、青少年センター本館解体工事の終了等によるものです。

特別会計4会計の予算額は、189億3,200万円で、5億6,500万円の増となりました。
これは、国民健康保険事業特別会計が減となったものの、他の3つの特別会計が増となったことによるものです。

公営企業会計の予算額は、57億3,900万円で、1億9,900万円の減となりました。

以上、6会計の予算額は、575億5,900万円で、11億5,000万円の減となりました。

次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。まず、歳入です。

一般財源額は、220億8,200万円で、2億400万円の減となりました。地方交付税、臨時財政対策債が増となる一方、市税の減等によるものです。

続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。

市税は、10億3,500万円の減となりました。個人市民税について、給与所得の減等に伴い、4億7,800万円の減、法人市民税について、企業収益の減少や税率引き下げ等により、4億6,300万円の減、固定資産税については、償却資産分の減等により、1億700万円の減を見込んだこと等によるものです。

地方譲与税及び各種交付金につきましては、令和2年度の決算見込みなどを基に計上し、3,000万円の増を見込みました。新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補填特別交付金の創設に伴い地方特例交付金が増となるものの、地方譲与税や他の交付金が減となるものです。

地方交付税につきましては、令和2年度の決算見込みなどを基に計上し、2億6,100万円の増を見込みました。

国庫支出金については、3億5,400万円の増を見込みました。国の補正予算を活用し、事業を前倒して実施することに伴う防災・安全社会資本整備交付金道路事業の減等の一方、新型コロナウイルスワクチン接種事業費負担金の皆増などによるものです。

寄附金につきましては、2億1,100万円の減となりました。みどりのまち振興財団からの寄附金の皆減によるものです。

繰越金につきましては、5,000万円の増となりました。感染症拡大防止等の観点から中止したイベント等の経費を見込んだことによるものです。

市債につきましては、4億9,000万円の減となりました。臨時財政対策債の増の一方、青少年センター本館解体工事や中学校給食全校実施に向けた配膳室整備等の終了や、事業の前倒しに伴う普通建設事業費の減等によるものです。

続きまして、歳出の性質別に主な内容を申し上げます。

人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、2億2,200万円の増となりました。小中学校エアコン設置等に係る償還元金の増等に伴い公債費が増となったほか、扶助費、人件費も増を見込みました。

物件費については、3億4,000万円の増を見込みました。青少年センター本館解体工事の終了に伴い減の一方、新型コロナウイルスワクチン接種事業の実施や中学校給食の全校実施に伴い増となるものです。

普通建設事業費については、16億1,400万円の減となりました。国の補正予算を活用した事業の前倒しに伴い、都市計画道路田中笠窪線整備事業や舗装打換事業が減となるほか、配膳室整備の終了に伴い中学校給食事業が減になること等によるものです。

積立金については、2億1,400万円の減となりました。みどりのまち振興財団からの寄附金の皆減に伴う財政調整基金積立金の減によるものです。

続きまして、各特別会計及び公営企業会計について申し上げます。

国民健康保険事業特別会計については、8,300万円の減となりました。被保険者数の減等によるものです。一般会計からの繰入金は、1,900万円の増です。

用地取得事業特別会計については、1億600万円の増です。伊勢原駅前線整備に係る公共用地先行取得等事業費の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、3,800万円の増です。

介護保険事業特別会計については、4億9,400万円の増です。サービス利用者の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、6,400万円の増です。

後期高齢者医療事業特別会計については、4,800万円の増です。被保険者数の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、1,300万円の増です。

最後に、公営企業会計について申し上げます。

公共下水道事業会計は、1億9,900万円の減となりました。管渠建設改良費の減等によるものです。一般会計からの繰入金は、負担金、補助金及び出資金の合計で、7,600万円の減です

令和3年度 主な施策

令和3年度の主な施策につきまして、第5次総合計画中期戦略事業プランの「暮らし力」「安心力」「活力」「都市力」「自治力」の5つの施策体系に沿って御説明いたします。

「暮らし力」の施策

「生涯にわたって健康に暮らせるまちをつくる」の取組

迅速かつ円滑なワクチン接種体制の確保に最優先で取り組み、新型コロナウイルス感染症の予防、まん延防止を図るほか、生活習慣病の予防やがん検診の受診率向上などに取り組み、「こころと体の健康づくり」を推進します。

「みんなで支え合う福祉のまちをつくる」の取組

介護支援ボランティアポイント事業等を通じた高齢者の生きがいづくり、地域包括支援センターの運営支援などにより、「高齢者の地域生活支援の充実」に取り組むほか、療育から就労に至るまで切れ目なく一貫した支援を行うため、障がい者相談支援事業所の確保や相談支援従事者の資質向上などにより、「障がい者の地域生活支援の充実」に努めます。

「子どもを産み育てやすいまちをつくる」の取組

子育て世代包括支援センターにて、妊娠期から就学前まで切れ目なく支援するほか、子育て中の親子が気軽に集う場の提供、中学3年生までの通院に係る医療費助成の通年化などにより、「子育て家庭への支援の充実」を図ります。

「子どもや若者の成長と自立を支えるまちをつくる」の取組

子どもたちが安全・安心に放課後を過ごせる居場所づくりとして、放課後子ども教室の円滑な運用に努め、「次代を担う子ども・若者の育成支援」を推進します。

「子どもの生きる力をはぐくむまちをつくる」の取組

小学校における教科担当制を拡充するなど、「きめ細やかな教育」を推進します。

「いつまでも学び生きがいがもてるまちをつくる」の取組

ねんりんピックかながわ2022剣道交流大会や各種スポーツ大会の開催、スポーツ指導者の養成等により、市民がスポーツに親しむ環境やきっかけづくりに取り組み、「誰もが親しめるスポーツ活動」を推進します。

「安心力」の施策

「災害から市民のいのちを守るまちをつくる」の取組

千津ふれあい公園に防災機能を備えた「かまどベンチ」などを設置し、「いざという時の危機対応力の強化」を図ります。
また、雨水幹線のコンクリートかさ上げ工事等により、集中豪雨時における浸水被害の軽減を図り、「被害を最小限に抑える減災対策」を推進します。

「暮らしの安全を守るまちをつくる」の取組

新東名高速道路のトンネル開通に伴い、トンネル災害に対応するための救助用資機材を整備するほか、(仮称)秦野市・伊勢原市共同消防指令センターの整備に向けた基本設計、実施設計を行い、「迅速で適切な消防・救急体制の強化」を図ります。

「一人ひとりが大切にされるまちをつくる」の取組

神奈川県やNPO法人が実施する通訳派遣事業を活用し、外国籍市民の生活を支援するなど、「平和と多文化共生社会」を推進します。

「活力」の施策

「地域の産業が盛んなまちをつくる」の取組

産業基盤整備の進ちょく状況を見据え、企業誘致に取り組むほか、中小企業の販路拡大、空き店舗の活用による商店街の活性化など、「地域を支える商業・工業の振興」を図ります。
また、農地の集積・集約化や、意欲ある農業者、新規就農者の支援、有害鳥獣対策などに取り組み、「地域とつながる都市農業・森林づくり」を推進します。

「多くの人が訪れる賑わいのあるまちをつくる」の取組

大山地区における平成大山講プロジェクトの推進や、日向地区、比々多地区における歴史や文化、豊かな自然の魅力を活かしたまちづくりを進めるなど、「魅力ある観光の振興」を図ります。

「都市の骨格を支えるまちをつくる」の取組

東部第二土地区画整理事業や伊勢原大山インター土地区画整理事業を進める各土地区画整理組合に対し、技術的援助や財政的支援を行い、「地域特性を生かした新たな産業基盤の創出」に取り組むほか、伊勢原駅北口周辺地区における市街地再開発事業の基本計画を策定するなど、「交流がひろがる拠点の形成」を推進します。

「都市力」の施策

「愛着のある美しいまちをつくる」の取組

景観計画の改定に向け、色彩調査を実施し、「個性と魅力あふれるまちづくり」を推進します。

「みんなの努力で環境にやさしいまちをつくる」の取組

日向川流域における合併処理浄化槽への転換を促進し、「自然共生社会の構築」を図るほか、国民運動「COOL CHOICE」を通じ、温室効果ガスの削減や省エネ対策の普及啓発、ごみ減量化・資源化の推進により、「低炭素・循環型社会の構築」を図ります。

「安全で円滑な移動ができるまちをつくる」の取組

持続可能な市民移動サービスの実現に向けたモデルスタディを実施し、「地域公共交通の充実」を図るほか、通学路等安全点検結果等に基づき、歩道やグリーンベルトを整備し、「安全な交通環境の整備」を進めます。

「便利で機能的なまちをつくる」の取組

都市計画道路田中笠窪線や公共下水道の整備により、「都市の機能を高める基盤施設の整備」を推進します。また、公共施設等総合管理計画の改訂に向けた公共施設等の実態調査や、市民文化会館の現況調査を実施し、「公共施設の効率的な活用と維持管理・保全」を推進するほか、総合運動公園再生修復や都市公園の遊具更新について、国の補正予算を活用し、令和2年度補正予算と令和3年度当初予算を一体として取り組み、「みんなで楽しめる公園づくり」を推進します。

「自治力」の施策

「地域の力が発揮できるまちをつくる」の取組

市民や市民活動団体からの提案型協働事業を積極的に進めるほか、自治会活動への支援等を通じて「市民協働と地域コミュニティの活性化」を図るとともに、新しい生活様式の実践に向け、情報通信技術を活用した行政サービスの利用促進等により、「市民に身近な市役所づくり」を推進します。

「次代へつながる確かな行財政運営ができるまちをつくる」の取組

市税徴収率の向上に努めるなど、「健全で安定した財政運営の強化」を図るとともに、ワンストップ窓口の円滑な運用等、行政サービスの効果的な運営を図り、「市民に信頼される市政」を推進します。

 

以上、第5次総合計画中期戦略事業プランの主な事業につきまして、5つの施策体系に沿って説明し、令和3年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。感染症の影響が見通せない状況でございます。繰り返しとなりますが、感染症への対応に万全を期するとともに、「しあわせ創造都市 いせはら」の実現に向けた歩みを進めてまいりますので、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

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