講演・スピーチ 令和4年市長施政方針

公開日 2022年02月17日

  

とき:令和4年2月17日

ところ:令和4年3月定例会

令和4年度は、第5次総合計画の最終年度を迎え、10年間のまちづくりの成果を確かなものとして次期計画へつなげていく節目となる年でございます。伊勢原大山インターチェンジの開通、新東名高速道路の延伸によるアクセスの向上、目前となった県道大山バイパスの全線開通、伊勢原駅北口再開発に係る機運の上昇などの環境変化を追い風として、市政の発展に向けた歩みを着実に進めていく大変重要な年でもございます。

この2年間、市民の皆様の安全・安心を旨とし、刻一刻と変化する新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、ワクチン接種をはじめとする感染拡大の防止に最優先で取り組んでまいりました。

しかしながら、感染症による影響は長期化しており、市民の皆様におかれては今もなお不安な状況が続いております。 このように、日常生活、経済活動等で様々な制約を受けている厳しいときだからこそ、希望を持っていただけるよう、本市の活性化、発展に向けた取組を進めなくてはならないという思いを強くいたし、現在、新たな10年を見通した次期総合計画の策定作業を進めているところでございます。

予算編成の基本的な考え方

   本市を取り巻く状況を見ますと、ワクチン接種が着実に進み、緊急事態宣言の解除等に伴い行動制限も緩和されたことから、昨年末には徐々に社会経済活動が再開されましたが、新たな変異株による第6波が到来する事態となり、依然として新型コロナウイルス感染症の収束を見通すまでには至っておりません。また、国際情勢の流動性や各地で多発する自然災害への懸念もあり、景気の動向は不透明です。

 このため、著しい経済回復を見込むことが難しい状況を前提とした上で、ワクチン接種をはじめとする新型コロナウイルス感染症への対策の継続を図るとともに、「しあわせ創造都市 いせはら」の着実な推進、さらには地域経済の活性化に重点を置き、令和4年度の予算編成に取り組みました。

 歳出につきましては、市民福祉の向上や市民生活における安全・安心への配慮を確保した上で、全ての事業においてゼロベースで検証し、経常的経費を中心に縮減に努めました。普通建設事業は、昨年度に引き続き、国の令和3年度補正予算を最大限に活用することで令和4年度予定事業の一部を前倒して予算計上し、道路や公園などの整備を切れ目なく進めることといたしました。

 歳入につきましては、大幅な落ち込みを覚悟していた市税収入は、コロナ以前の水準までの回復には至らないものの、国の積極的な取組もあって上振れが見込まれる状況となり、令和4年度においても一定の伸びを見込むことといたしました。

 さらに、令和3年度に見込まれる市税収入の増収分を前年度繰越金に上乗せするとともに、事業の抑制や中止により生じた令和2年度からの余剰等で積み増しをした財政調整基金を、施策推進とのバランスに留意しながら、最低限必要となる残高を確保しつつ繰入れることで、山積する諸課題への取組の推進を図ることといたしました。 
 少子高齢社会の進展や人口減少を見据えますと、持続可能なまちづくりに向けた歳入・歳出両面での取組が不可欠です。事業を見直し、歳出の抑制に努めるだけでなく、新たな財源の確保に向けた産業基盤の創出や、次代を担う子どもたちを育む環境の充実など、本市の未来への投資が必要と判断したものです。

 主な取組といたしましては、産婦健康診査費用の助成、小児医療費助成制度における未就学児までを対象にした所得制限の廃止、児童コミュニティクラブの民間委託や民間学童保育事業者に対する補助金の拡充、小中学校トイレの改修設計、老朽化する公民館や図書館・子ども科学館の修繕・改修、市道の改良、橋りょうや公園の整備、伊勢原大山インターチェンジ周辺地区における土地区画整理組合の支援や伊勢原駅北口周辺地区における都市計画変更など、直面する諸課題へ適切に対応するとともに、第5次総合計画の着実な推進に努めます。

 また、ポストコロナを見据え、LINEの活用やRPA利用の拡大などによるデジタル化のほか、「ゼロカーボンシティいせはら」の実現に向けた再生可能エネルギー目標の設定など、新たな課題にも取り組むとともに、伊勢原駅北口周辺地区整備や公共施設の老朽化対策などに向け、特定目的基金の在り方等についても検討を進めてまいります。
 
 令和4年度予算案は、職員の創意・工夫により、限られた財源を市民生活や本市のまちづくりに必要な施策へ配分するとともに、健全財政の維持に向け市債借入の抑制等により、市債残高及び公社債務の縮減にも努めて編成いたしました。 感染状況をはじめとする環境変化を注視し、次期総合計画策定過程で中期的な財政収支を見通すなど、気を引き締めた市政運営に努めるとともに、より一層の市政発展に向け、職員一丸となって取り組んでまいります。

予算規模

 令和4年度伊勢原市予算の概要につきまして、御説明いたします。金額は、100万円単位とさせていただきます。また、比較増減は、令和3年度当初予算に対するものとなります。

 まず、予算規模について申し上げます。
 
 一般会計の予算額は、346億9,500万円で、18億700万円の増となりました。主な要因といたしましては、少子高齢社会の進展等に伴う扶助費や医療・社会保障関連特別会計への繰出金の増、伊勢原大山インター土地区画整理推進事業、(仮称)秦野市・伊勢原市共同消防指令センター整備事業や市道改良事業の進ちょく等によるものです。
 特別会計4会計の予算額は、193億2,400万円で、3億9,200万円の増となりました。国民健康保険事業特別会計のほか2つの特別会計が増となったことによるものです。
 公営企業会計の予算額は、61億2,700万円で、3億8,800万円の増となりました。

 以上、6会計の予算額は、601億4,600万円で、25億8,700万円の増となりました。
 次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。
 
 まず、歳入です。
  • 一般財源額は、229億9,600万円で、9億1,400万円の増となりました。
    市税や地方交付税、財政調整基金繰入金が増となる一方、臨時財政対策債の減等によるものです。
    
    続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。
  • 市税は、7億6,500万円の増となりました。個人市民税について、持ち直しが見込まれる営業所得の増等に伴い、2億1,000万円の増、法人市民税について、企業収益の増等により、2億3,200万円の増、固定資産税については、東部第二土地区画整理地区における新築等により、2億4,400万円の増を見込んだこと等によるものです。
  • 地方譲与税及び各種交付金につきましては、令和3年度の決算見込みなどを基に計上し、6,200万円の増を見込みました。新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補てん特別交付金の皆減等に伴い地方特例交付金が減となるものの、法人事業税交付金や地方消費税交付金などが増となることによるものです。
  • 地方交付税につきましては、令和3年度の決算見込みなどを基に計上し、2億4,300万円の増を見込みました。
  • 国庫支出金については、3億1,100万円の増を見込みました。事業の進ちょく等に伴い新型コロナウイルスワクチン接種事業費負担金が減となる一方、被保護世帯数の増等による生活保護費負担金の増などによるものです。
    
  • 繰入金につきましては、3億500万円の増となりました。財政調整基金繰入金の増等によるものです。
  • 繰越金につきましては、1億円の増となりました。令和3年度に見込まれる市税の増収分を見込んだことによるものです。
  • 市債につきましては、2億200万円の減となりました。伊勢原大山インター土地区画整理の事業進ちょくや(仮称)秦野市・伊勢原市共同消防指令センターの建設等に伴い増となる一方、市税の増等に伴う臨時財政対策債の減等によるものです。

続きまして、歳出の性質別に主な内容を申し上げます。

  • 人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、6億1,600万円の増となりました。小中学校エアコン設置等に係る償還元金の増等に伴い公債費が増となったほか、扶助費、人件費も増を見込みました。
  • 物件費については、2億6,200万円の増を見込みました。新型コロナウイルス感染症ワクチン接種事業の進ちょく等に伴い感染症予防対策事業費の委託料の減の一方、子宮頸がんワクチン接種に係る勧奨再開等に伴い予防接種事業費の委託料の増等によるものです。
  • 普通建設事業費については、4億4,200万円の増となりました。事業の進ちょくに伴い都市計画道路田中笠窪線整備事業が減となる一方、伊勢原大山インター土地区画整理推進事業や市道改良事業、総合運動公園再生修復整備事業などが増となること等によるものです。
  • 繰出金については、2億2,400万円の増となりました。被保険者数の増等に伴い後期高齢者医療費の増のほか、国民健康保険事業特別会計繰出金の増等によるものです。

続きまして、各特別会計及び公営企業会計について申し上げます。

  • 国民健康保険事業特別会計については、6,400万円の増となりました。国民健康保険事業費納付金の一般被保険者医療給付費分の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、8,100万円の増です。
  • 用地取得事業特別会計については、5,100万円の減です。公共用地先行取得等事業費の減等によるものです。一般会計からの繰入金は、1,700万円の増です。
  • 介護保険事業特別会計については、3億1,200万円の増です。サービス利用者の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、3,500万円の増です。
  • 後期高齢者医療事業特別会計については、8,500万円の増です。後期高齢者医療広域連合納付金における保険料等納付金の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、1,100万円の増です。

最後に、公営企業会計について申し上げます。

  • 公共下水道事業会計は、3億8,800万円の増となりました。管渠建設改良費の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、負担金、補助金及び出資金の合計で、1,000万円の減です。

令和4年度 主な施策

 令和4年度の主な施策につきまして、第5次総合計画中期戦略事業プランの「暮らし力」「安心力」「活力」「都市力」「自治力」の5つの施策体系に沿って御説明いたします。

「暮らし力」の施策

「生涯にわたって健康に暮らせるまちをつくる」の取組

 円滑なワクチン接種に引き続き取り組み、新型コロナウイルス感染症の予防、まん延防止を図るほか、低栄養の可能性のある高齢者に対する訪問指導の実施等により、「こころと体の健康づくり」を推進します。

「みんなで支え合う福祉のまちをつくる」の取組

 介護支援ボランティアポイント事業等を通じた高齢者の生きがいづくり、地域包括支援センターの運営支援などにより、「高齢者の地域生活支援の充実」に取り組むほか、複雑・多様化する相談内容に対応できるよう、障がい者相談支援事業所との連携強化や相談支援従事者の資質向上などにより、「障がい者の地域生活支援の充実」に努めます。

「子どもを産み育てやすいまちをつくる」の取組

 新たに産婦健康診査費用を助成し、妊娠・出産、産後の支援を行うとともに、小児医療費助成の所得制限対象を満1歳以上から小学1年生以上に緩和するなど「子育て家庭への支援の充実」を図ります。また、児童コミュニティクラブにおける民間委託の拡大等により「多様な働き方が選択できる保育の充実」を推進します。

「子どもや若者の成長と自立を支えるまちをつくる」の取組

 子どもたちが安全・安心に放課後を過ごせる居場所づくりとして、放課後子ども教室を増設し、「次代を担う子ども・若者の育成支援」を推進します。

「子どもの生きる力をはぐくむまちをつくる」の取組

 小学校における教科担当制の拡充などにより、「きめ細やかな教育」を推進するとともに、市内小中学校のトイレ改修設計を実施し、「安全で快適な教育環境の整備」を図ります。

「いつまでも学び生きがいがもてるまちをつくる」の取組

 ねんりんピックかながわ2022剣道交流大会の開催等により、市民がスポーツに親しむ環境やきっかけづくりに取り組み、「誰もが親しめるスポーツ活動」を推進します。

「安心力」の施策

「災害から市民のいのちを守るまちをつくる」の取組

 防災行政用無線(固定系)の機能強化に努めるとともに、都市公園に防災機能を備えた「かまどベンチ」などを設置し、「いざという時の危機対応力の強化」を図ります。また、雨水幹線の水路改修工事等により、集中豪雨時における浸水被害の軽減を図り、「被害を最小限に抑える減災対策」を推進します。

「暮らしの安全を守るまちをつくる」の取組

 消防の広域連携に向け、(仮称)秦野市・伊勢原市共同消防指令センターの建設を2カ年で実施し、「迅速で適切な消防・救急体制の強化」を図ります。

「活力」の施策

「地域の産業が盛んなまちをつくる」の取組

 伊勢原大山インター土地区画整理の事業進ちょく等を見据え、企業誘致活動を推進するなど、「地域を支える商業・工業の振興」を図ります。また、農地の集積・集約化や、意欲ある農業者、新規就農者の支援、有害鳥獣対策などに取り組み、「地域とつながる都市農業・森林づくり」を推進します。

「多くの人が訪れる賑わいのあるまちをつくる」の取組

 大山地区における平成大山講プロジェクトの推進や、日向地区、比々多地区における歴史や文化、豊かな自然の魅力を活かしたまちづくりを進めるなど、「魅力ある観光の振興」を図ります。

「都市の骨格を支えるまちをつくる」の取組

 伊勢原大山インター土地区画整理組合に対し、技術的援助や財政的支援を行い、「地域特性を生かした新たな産業基盤の創出」に取り組むほか、伊勢原駅北口地区再開発準備組合の運営支援や都市計画変更に必要な調査等を実施し、「交流がひろがる拠点の形成」を推進します。

「都市力」の施策

「愛着のある美しいまちをつくる」の取組

 景観計画及び景観ガイドラインの改定に向けた検討を実施し、「個性と魅力あふれるまちづくり」を推進します。

「みんなの努力で環境にやさしいまちをつくる」の取組

 合併処理浄化槽への転換を促進し、「自然共生社会の構築」を図るほか、ゼロカーボンシティいせはらの実現に向けた計画の策定や草木類・木質系粗大ごみの資源化の充実に努めるなど、「低炭素・循環型社会の構築」を図ります。

「安全で円滑な移動ができるまちをつくる」の取組

 地域公共交通計画の策定により「地域公共交通の充実」を図るほか、通学路等安全点検結果等に基づき、歩道やグリーンベルトを整備し、「安全な交通環境の整備」を進めます。

「便利で機能的なまちをつくる」の取組

公共施設等総合管理計画の改訂や、橋りょう長寿命化修繕計画に基づく修繕・耐震化を実施して「公共施設の効率的な活用と維持管理・保全」を図るほか、総合運動公園再生修復整備方針に基づく園路等の整備や老朽化した市民の森ふじやま公園トイレの改修等について、国の補正予算を活用し、令和3年度補正予算と令和4年度当初予算を一体として取り組み、「みんなで楽しめる公園づくり」を推進します。また、関連事業となりますが、比々多公民館の屋上外壁改修工事など、公民館や図書館・子ども科学館の個別施設計画に基づく維持・修繕にも取り組みます。

「自治力」の施策

「地域の力が発揮できるまちをつくる」の取組

市民活動団体からの提案型協働事業を積極的に進めるほか、自治会活動への支援等を通じて「市民協働と地域コミュニティの活性化」を図るとともに、新しい生活様式の実践に向け、情報通信技術を活用した行政サービスの利用促進等により、「市民に身近な市役所づくり」を推進します。

「次代へつながる確かな行財政運営ができるまちをつくる」の取組

 市税徴収率の向上に努めるなど、「健全で安定した財政運営の強化」を図るとともに、ワンストップ窓口の円滑な運用等、行政サービスの効果的な運営を図り、「市民に信頼される市政」を推進します。


 以上、第5次総合計画中期戦略事業プランの主な事業につきまして、5つの施策体系に沿って説明し、令和4年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。

 新たな変異株の出現等により感染状況も急激に変化するなど、先行きが不透明な状況でございますが、引き続き感染症への対応に万全を期するとともに、「しあわせ創造都市 いせはら」の実現に向けた歩みを進めてまいりますので、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。
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