公開日 2023年12月05日
上場株式等の配当所得等や譲渡所得等、特定公社債等の利子所得等については、所得税と個人住民税において異なる課税方式の選択が可能とされてきましたが、金融所得課税における公平性の観点から、令和6年度の住民税(令和5年分の所得税の確定申告)より、課税方式を所得税と一致させる改正がなされました。(令和4年度税制改正)
この改正により、所得税で申告不要を選択した場合は、住民税でも申告不要となり、所得税で総合課税(申告分離課税)で確定申告を行った場合は、住民税においても総合課税(申告分離課税)で申告したこととなり、所得税と住民税とで異なる課税方式を選択することができなくなりました。
所得税で特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得を確定申告すると、これらの所得は住民税でも所得に算入されます。
それにより、扶養控除や配偶者控除などの適用、非課税判定、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、介護保険料などの算定に影響が出たり、各種行政サービスなどに影響が出たりする場合がありますのでご注意ください。
課税方式統一イメージ
令和5年度(令和4年分の申告)まで 令和6年度(令和5年分の申告)から
※所得税と住民税で異なる課税方式選択可 ※所得税と住民税で課税方式を統一
所得の種類 |
選択できる課税方式 | ||
---|---|---|---|
上場株式等の配当所得等 | 総合課税 | 申告分離課税 | 申告不要制度 |
上場株式等の譲渡所得等 | - | 申告分離課税 | 申告不要制度 |
特定公社債等の利子所得等 | - | 申告分離課税 | 申告不要制度 |
※上場株式等の配当所得等は、総合課税・申告分離課税・申告不要の3つの課税方式
※上場株式等の譲渡所得等は、申告分離課税・申告不要の2つの課税方式
※所得税の確定申告において、上記いずれかの課税方式を選択した場合は、その後の修正申告や更正の請求において、その選択を変更することはできません。確定申告に関する内容は、最寄りの税務署にお問い合わせください。
関連する国税庁のホームページについては下記のリンクからご確認下さい。
確定申告で申告しなかった上場株式等の利子及び配当を修正申告により申告することの可否
上場株式等の配当所得等
総合課税を選択する場合
住民税の税率が10.025%になり、配当控除が適用できます。
申告した所得金額が合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
申告分離課税を選択する場合
住民税の税率は5%で、特別徴収されている税率と同じです。
上場株式等の譲渡損失と損益通算できます。これら申告した所得金額が合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
申告不要制度を選択する場合
5%の税率で住民税が課税され、特別徴収されます。
申告しないため、これらの所得金額は合計所得金額、総所得金額等に算入されません。また、配当割額の控除の適用もありません。※支払いを受ける際に源泉徴収が行われるものに限ります。
上場株式等の譲渡所得等・特定公社等の利子所得等
申告分離課税を選択する場合
住民税の税率は5%で、あらかじめ特別徴収されている税率と同じです。
上場株式等の譲渡損失と損益通算できます。これら申告した所得金額は合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
申告不要制度を選択する場合
5%の税率で住民税が課税され、特別徴収されます。
申告しないため、この所得金額は合計所得金額、総所得金額等に算入されません。ただし、支払いを受ける際に源泉徴収が行われるものに限ります。
注意点
- 申告不要とされている特定配当等や特定株式等譲渡所得金額を申告することで、これらの所得は合計所得金額や総所得金額等に算入されることになります。その結果、扶養控除や配偶者控除などの適用、非課税判定、国民健康保険税や後期高齢者医療保険、介護保険料などの算定に影響が出たり、各種行政サービスなどに影響が出たりする場合があります。
- 源泉徴収されない特定口座(簡易申告口座)および一般口座での取引に係る株式等譲渡所得等、大口株主等分の上場株式等の配当所得等、一般株式等の配当所得等を申告不要とすることはできません。
- 同一の源泉徴収あり特定口座内の上場株式等に係る利子等の金額及び配当等の金額と上場株式等の譲渡損失は、その特定口座内で損益通算されています。
- 申告不要を選択された場合、配当割額・株式譲渡所得割額の控除は適用されません。