公開日 2022年02月15日
1.子易・中川原遺跡、上粕屋・子易遺跡
1 遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市子易地内、上粕屋地内 - 調査原因
新東名高速道路建設工事 - 調査期間
平成24年9月16日~令和4年11月30日 - 主な時代
旧石器、縄文、弥生、古墳、奈良、平安、中世、近世 - 遺跡立地
丹沢山地南東山麓の丘陵および鈴川両岸の段丘上 - 調査組織
公益財団法人かながわ考古学財団
子易・中川原遺跡では、高取山トンネル周辺の1-4b工区で中世面、その手前の4-1(4)工区残地では主に縄文面の調査を実施しました。特に、1-4b工区では、過年度調査で発見されていた中世前期(鎌倉時代)の寺院跡の続きが調査され、幻の中世寺院跡の全貌が明らかになりました。
今回の調査区では、東西3間×南北3間の基壇を持つ礎石建物跡が発見され、その中央床下には常滑産の大甕が2個体埋設されていました。大甕の中からは炭・焼土・灰に混じって少量の焼骨が出土しており、この礎石建物跡は墳墓堂であった可能性があります。また、東西2間×南北3間の掘立柱建物跡や大きな石を長方形に組んで構築された石組墓も3基見つかっています。石組内部には直径10センチメートルほどの玉石が大量に積まれており、その直下からは、埋葬主体部と推定される直径70センチメートルほどの土坑が検出されました。土坑内部からは、やはり大量の炭に混じって少量の焼骨が見つかっており、埋葬施設であったと考えられます。
4-1(4)工区残地では、過年度調査で発見されていた縄文時代後期前葉~中葉の集落跡の続きを調査しました。敷石住居跡が2軒見つかったほか、線刻を持つ岩版が出土し、貴重な発見となりました。
上粕屋・子易遺跡では、大山道沿いの9j工区・9k工区で近世~近代面の調査を実施しました。鈴川側の9k工区では、千石堰用水の古い流れと推定される石組溝や大きな石を多用した石組遺構、何重にも造り替えられた石垣などが見つかっています。鈴川に向かって徐々に敷地を広げていった様子がうかがえます。
9k工区周辺には、近世~近代にわたって宿屋「海老屋」があったことが分かっており、実際に「ゑびや」と染付された磁器が出土しています。
2 調査地点
3 調査の写真
1-1.子易・中川原遺跡
- 中世面全景
- 中世墳墓堂
- 中世石組墓
- 中世納骨堂大甕
- 中世納骨堂埋甕1内部断面
- 中世墳墓堂埋甕2内部断面
- 中世石組墓
- 中世石組墓埋葬主体部断面
- 中世石組墓下部土坑人骨・
- 炭化物検出状況
- 中世掘立柱建物
- 中世井戸
- 断面測量作業
- 中・近世面完掘
- C3溝断面
- 作業風景
- 縄文面完掘
- J9号住居敷石
- J38号住居敷石
1-2.上粕屋・子易遺跡
- 近世面全景
- 近世面全景
- 近世石組溝(千石堰用水)調査風景
- 石垣検出状況
- 近世1・2面
- 近世石組遺構調査状況
- K9石垣およびK11石組調査状況
- K8・K9石垣検出状況
- 宝永火山灰直下畝状遺構検出状況
遺跡見学会
令和3年4月25日に実施した子易・中川原遺跡見学会の様子が動画になりました。
約5分の映像となっています。