公開日 2022年02月15日
5.上粕屋・石倉中遺跡
1 遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市上粕屋字石倉中1489外 - 調査原因
一般国道246号厚木秦野道路建設工事に伴う発掘調査 - 調査期間
令和3年4月1日~10月15日 - 主な時代
旧石器・縄文・古墳・奈良・平安・中世・近世 - 遺跡立地
上粕屋扇状地の基部付近に位置する鈴川左岸の河岸段丘上 - 調査組織
公益財団法人かながわ考古学財団
厚木秦野道路建設に伴う上粕屋・石倉中遺跡の調査は、平成25年9月から平成30年7月まで継続して実施され、近世から旧石器時代の遺構・遺物が発見されました。今回は平成25~28年度に発掘された1・2地区の北側に隣接する3区約1,000平方メートルの範囲を調査しました。その結果、中・近世と奈良・平安時代、古墳時代、縄文時代後期を中心に遺構・遺物が確認されました。
近世の調査では、前回1区の調査で確認されていた大山道(3号道状遺構)の続きが確認されました。同様に2区から続く村境の溝状遺構(1号溝)などが発見されました。
中世の遺構は、調査区東半部から主にピット群が発見されました。並びは不明瞭で明確な建物跡は確認できませんでした。
奈良・平安時代では、円形土坑や調査区西側の段丘沿いに道状遺構が確認されました。道状遺構は、古墳の石室を一部破壊していました。その他、古墳の周溝を切る、円形周溝状遺構を確認しました。円形周溝状遺構は径約8メートルの円形周溝を伴い、中央には浅い竪穴状の掘り込みがあり、最新の古墳である可能性も否めません。
古墳時代では、小型の円墳3基と、小石室3基が新たに発見されました。円墳2基では石室が確認され(8号墳・9号墳)、1基は周溝のみが確認されました(12号墳)。8号墳からは鉄鏃3点と刀子1点が出土しました。3基の小石室は円墳に隣接して出土しました。これら小型の古墳群は終末期(7世紀末頃)と考えられ、調査区の北側、鈴川の上流方向へ広がる様子がとらえられました。
縄文時代後期では、敷石住居跡が1軒発見されましたが、近世の道や溝によって破壊され、わずかに残存していました。その他、調理施設と考えられる集石1基、早期の落とし穴状の土坑などが発見されました。
2 調査地点
3 調査の写真
- 1号溝(近世区画溝)
- 7号・8号墳
- 7号墳(小石室)
- 8号墳石室
- 8号墳鉄鏃出土状況
- 10号墳(小石室)
- 11号・12号墳
- 11号墳(小石室)
- J1号集石 縄文時代
- 近世大山道
- 敷石住居跡(縄文時代)