公開日 2022年02月15日
上粕屋・秋山上遺跡
1 遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市上粕屋字秋山上2900-1外11筆 - 調査原因
一般国道246号(厚木秦野道路)建設事業に伴う発掘調査 - 主な時代
旧石器・縄文・古墳・奈良・平安・中世・近世以降 - 遺跡立地
渋田川右岸の台地上 - 調査組織
公益財団法人かながわ考古学財団
調査地点の周辺では道路建設事業などにより多数の調査が実施されています。今回はそれらに継続する部分にあたります。周辺地域と同様に縄文時代の住居跡が発見されています。
住居は床面に石が敷かれ、出入り口が突出する柄鏡形(敷石)住居跡と呼ばれるものです。住居とその周辺からは土器や石器の他、垂れ飾りなども出土しています。発見された住居はいずれも後世の影響を受け、完全な形ではありませんでしたが、住居の分布を考える上での貴重な情報を得ることができました。また今回の発掘は集落の一部分ですが、周辺地域の調査成果と併せて、遺跡全体の様相が把握できるものと考えられます。
【中世】
L字形に延びる溝状遺構に区画されて、その南側に中世段階から近世初頭にわたって土坑群とピット群が発見されました。ピット群中では掘立柱建物跡4棟分が確認され、ピット群は建物跡とそれ付属する施設等であることが考えられます。出土陶磁器からみて中世初頭、中世前半、中世後半から近世前半の長い時期に段階的に構築されたことがわかりました。土坑はいずれも方形基調が多い点が特徴で、一部楕円形の土坑からは中世初頭の渥美産の甕上半部が投棄された状態で発見されました。その他、近代では煉瓦造りのカマドの一部が発見されています。小規模ですが比較的丁寧なつくりのものです。煉瓦の一部には「上敷免製」や「日煉」の刻印が施されていることから、埼玉県深谷市でつくられた明治・大正時代以降の煉瓦であることがわかります。どのような施設であるかは現在のところ明らかではありませんが、養蚕に関係する施設である可能性を考えています。
2 調査地点
3 調査風景
- 調査区近景(南から)
- 上粕屋・秋山上遺跡8区調査状況
- 煉瓦カマド調査状況
- 1号煉瓦カマド
- 2号・3号煉瓦カマド
- 3号煉瓦カマド
- 掘立柱建物群(中世)
- 掘立柱建物(中世)
- 掘立柱建物(中世)
- 土坑群(中世)
- C41号土坑遺物出土状況(中世)
- 縄文面完掘状況(東側)
- J1号住居跡(縄文時代後期)
- J1号礫集中(縄文時代後期)
- J1号焼土とピット群(縄文時代後期)
- J1号住居跡 主体部
- J1号住居跡 張り出し部
- J1号住居跡 炉
- J2号住居跡(縄文時代後期)
- J2号住居跡 炉
- 縄文面完掘状況(西側)
- J4号・J6号住居跡(縄文時代後期)
- J4号住居跡(縄文時代後期)
- 垂れ飾り出土状況(縄文時代後期)
- 谷部調査状況
- 埋没谷調査状況(縄文時代)
- 谷部完掘状況