西富岡・向畑遺跡(令和4年度調査)

公開日 2023年02月17日

西富岡・向畑遺跡

遺跡の概要

  • 所在地
    伊勢原市西富岡116-2番他
  • 調査原因
    新東名高速道路建設工事に伴う発掘調査
  • 調査期間
    平成19年4月1日~令和4年12月28日
  • 主な時代
    旧石器、縄文、古墳、奈良~平安、中世、近世
  • 遺跡立地
    渋田川左岸の富岡丘陵に挟まれた台地上

伊勢原ジャンクション建設に伴う西富岡・向畑遺跡の調査は、足かけ16年でついに終了しました。この間、約5万平方メートルを65地区に分けて調査を実施しました。厚さ1.5~3.0mの黒土の中からは弥生時代以外の各時代の遺構・遺物が出土しており、特に縄文時代中期~後期の集落、古墳時代後期~平安時代の集落が中心となります。また、赤土(関東ローム層)の中からも旧石器時代の槍先形尖頭器の製作址などが見つかりました。今年度は、昨年度報告した縄文時代晩期初頭頃に地すべりで埋まった埋没林(埋没樹幹)と縄文時代後期遺構群が見つかったエリアの、斜面上方隣接地を調査しました。
 埋没林が発見された地区は、縄文時代中期後半~後期前半の集落が広がる南西向き緩斜面の東端、富岡丘陵の西側裾に位置しています。昨年度の調査区では、斜面下方に梢を向けた倒木を多数検出しましたが、今回の調査範囲ではこれらの内3本ほどが根元までが確認できました。この中には、酸素同位体比年輪年代法による年代測定で紀元前1131年に枯死したことがわかったエノキが含まれます。現段階では、この年に地すべりが発生して樹木が埋没したと考えています。この年代は、樹木の周囲から確認されていた天城カワゴ平火山灰の降灰した約20年後に当たり、出土状況としても整合的です。
 今回の調査でも森林に棲んでいた昆虫類が出土しています。前年度と同様にセミの幼虫が多数出土したほか、コガネムシやカナブンの仲間、オサムシやゴミムシの仲間、糞虫類、コメツキムシ、ハムシ、カメムシ、クワガタムシ、ハエ、ガなどの仲間や、倒木の中からもキクイムシ類の成虫やゴミムシダマシ類の幼虫とみられる昆虫も見つかっています。埋没林から出土した総数では1000点近く、80種類以上に及ぶ昆虫が確認されており、これだけ多種多様な縄文時代の昆虫が出土した遺跡は他に例がありません。

調査の写真

西富岡・向畑1
縄文時代埋没林検出状況
西富岡・向畑2
埋没林調査風景
西富岡・向畑3
根本が確認された樹木
西富岡・向畑4
ササ類(?)の葉
西富岡・向畑5
アオドウガネとみられる甲虫
西富岡・向畑6
倒木中のキクイムシ類とみられる昆虫

地図

遺跡の位置

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