公開日 2023年02月17日
神成松遺跡第8地点
遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市上粕屋字立原、字神成松 - 調査原因
一般国道246号(厚木秦野道路)建設事業に伴う発掘調査 - 調査期間
平成30年8月1日~令和4年9月30日 - 主な時代
旧石器、縄文、弥生、古墳、奈良、平安、中世、近世 - 遺跡立地
大山の山際からのびる上粕屋扇状地の台地上
今年度は 10 区の調査を継続し、新たに 11 区と 4 区-2 の調査を行いました。これまで本遺跡での中世の調査からは、2 条の溝に挟まれた範囲に複数の掘立柱建物が集中して建てられていた状況が確認されています。溝状遺構は、前調査成果と合わせると東西幅約 75m の四角い範囲を囲う区画溝であることが明らかになっています。また、ほとんどが破片資料ですが、建物跡の周囲や区画溝からは在地産・鎌倉産のかわらけ、中国産磁器などが出土しており、これらの遺構群は 13 世紀代(鎌倉時代)を中心とする御家人クラスの方形居館跡と推定されています。縄文時代は中期の遺物が多く見つかっており、なかでも土偶装飾付土器という貴重な土器の一部が竪穴住居から出土しています。これは、土偶をそのまま土器に貼り付けたかのようなヒト形の装飾が特徴です。
10 区は縄文時代前期の陥し穴が多く見つかっており、平面形が楕円形を呈するものや、長軸約2m、短軸約 0.4m の細長い T ピットと呼ばれるものが確認されています。旧石器時代の調査では槍先形尖頭器や黒曜石製のナイフ形石器片などが出土しています。11 区では、近世の調査で現在の道路と通り筋が重なる道状遺構と畝状遺構などがみつかっています。この道に対して畝状遺構が直交するように入ることから、道を土地の区画として意識していたことがうかがえます。中世では近世の道に並行して道状遺構(C1道)と溝状遺構が確認され、先の方形居館をめぐる溝と主軸方向がほぼ同じであることがわかっています。C1道からは、馬と思われる骨や歯が複数出土しました。弥生時代の調査では、後期の竪穴住居が見つかっています。床面近くから土器や炭化材が出土し、焼土のかたまりも多く見られることから、焼失住居の可能性が考えられます。縄文時代の調査では隣接する 10 区と同様に陥し穴が検出されており、狩猟の場として使われていたことが分かります。