西富岡・長竹遺跡(令和4年度調査)

公開日 2023年02月17日

西富岡・長竹遺跡

遺跡の概要

  • 所在地
    伊勢原市西富岡字長竹1044外
  • 調査原因
    一般国道246号(厚木秦野道路)建設事業に伴う発掘調査
  • 調査期間
    令和3年8月1日~令和4年12月28日
  • 主な時代
    旧石器、縄文、奈良、平安、中世、近世
  • 遺跡立地
    渋田川とその支流に挟まれたやせ尾根状台地と低地

 

西富岡・長竹遺跡は、過去6回の調査が実施されている遺跡で、特に本調査区の南に隣接する第2・3次調査では旧石器時代の調査成果が特に大きく、6時期にわたる文化層が確認されています。
 近世では昨年度調査に続き、宝永火山灰を畠の土と鋤き込ませている畠の跡が幾段にも確認されたほか、降り積もった宝永火山灰を溝に廃棄している状態がみつかりました。
 中世では、昨年確認されている堀の続きを調査しました。調査区西際から続く堀は二股にわかれ、一方は北側へ、もう一方は西側へ延びていました。北側へ延びる堀は、水の流れが確認されるような堆積はなく、人為的に埋めた堆積でしたが、西へ延びる堀は水の流れが認識できる堆積でした。粘性の強い土の中からは、木簡や椀などの木製品や自然木が出土しています。堀の他には、中世墓が堀に隣接してみつかりました。堀より南側は墓域であったことが考えられます。
 奈良~平安時代では、調査区北側で竪穴建物や掘立柱建物が確認されましたほか、西に傾斜する地形にそって溝が3条並行してみつかっています。注目される遺物として土製品の「瓦塔」があげられます。遺構に直接伴う遺物ではありませんが、包含層から4点確認されたほか、墨書土器、佛鉢も確認されたことから、近隣に村落寺院が存在することも想定されます。
 旧石器時代の調査では、B0~L1H層からは黒曜石の細石刃や細片、安山岩の槍先形尖頭器が調査区南東側で、B1層では安山岩などの石器集中や礫群が調査区の東側中央部分で確認されました。B1層では礫群が6か所、ナイフ形石器を含む石器集中や炭化物集中が、L3層からは礫片と炭化物がまとまって確認されました。今回調査区で確認された石器集中は全て東側に続くと考えられ、さらなる拡がりが見込まれます。

調査の写真

西富岡・長竹1
古代面全景
西富岡・長竹3
古代面調査風景
西富岡・長竹4
C1堀(中世)
西富岡・長竹2
旧石器時代面調査風景
西富岡・長竹5
旧石器時代調査坑4、5

地図

遺跡の位置

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