公開日 2024年02月16日
上粕屋・秋山上遺跡第3次調査
遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市上粕屋字秋山上2883-1外15筆 - 調査原因
一般国道246号(厚木秦野道路)建設工事に伴う発掘調査 - 調査期間
令和5年4月1日~令和6年1月31日 - 主な時代
旧石器、縄文、奈良~平安、中世、近世 - 遺跡立地
秋山台地上で、北側が谷戸に面している
令和5年度の9区の調査は令和4年度の継続で、中世の井戸1基のみの調査が実施され、令和5年5月31日に終了しました。
10区の調査は4月4日から開始し、まず近世面の調査を実施しました。
近世では溝状遺構12条と土坑24基、畑跡7ヶ所、井戸1基、焼土跡1基、ピット1基が検出されました。
畑跡には周囲が溝で方形に区画されたものも検出されています。この畑跡の畝の間からは宝永火山灰が大量に堆積した状態で検出されており、1707年の富士山の噴火に伴う火山灰の降下に際して、その後に復旧されなかった可能性も考えられます。
中世では溝状遺構13条、土坑25基、井戸2基、竪穴状遺構12基、地下式坑4基、道状遺構1条、ピット785基が検出されました。ピット分布範囲からは現時点で2棟の掘立柱建物跡が確認されており、うち1棟は梁行1間、桁行4間の規格を持つものでした。
奈良・平安時代では竪穴住居跡が3軒とピット73基が検出されております。竪穴住居跡はいずれも一辺3mほどの方形で、小規模なものです。カマドは検出されましたが、柱穴は確認されませんでした。ピット分布範囲からは現時点で掘立柱建物跡が1棟確認されており、梁行2間、桁行4間の規格をもつものでした。
縄文時代では土坑5基、道状遺構2条、屋外埋設土器2基、礫集中2基、ピット1基が検出されました。道状遺構は道として造成されたものではなく、日常的に通行していた箇所に草が生えなくなったため、そこが雨水の通り道となり、溝状に抉れてしまった痕跡と思われます。覆土中には水の流入を示す砂や酸化鉄が堆積していました。屋外埋設土器のうち1基は鉢形土器を伏せて置いたもので、破損が無く、完全な形で出土しました。
旧石器時代では、ナイフ形石器1点が出土しました。