公開日 2024年02月16日
上粕屋・久保上遺跡第2次調査
遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市上粕屋字神成松2814外 - 調査原因
伊勢原大山インターチェンジ土地区画整理事業に伴う発掘調査 - 調査期間
令和5年6月12日~調査中 - 主な時代
縄文・中世・近世 - 遺跡の立地
上粕屋扇状地上の緩傾斜地上
本遺跡では、近世・中世面で溝状遺構や畝状遺構、円形土坑などが、縄文時代では中期の竪穴住居址が確認されています。
縄文時代の竪穴住居址は、現在までに50軒以上確認され、今後さらに増える見込みです。竪穴住居址群(集落)を形成している時期は、勝坂式後半~曽利Ⅱ式=加曽利E2式期で、調査区内では南東側の分布が薄く、遺構確認面で標高75~78m付近に密集しています。
竪穴住居址の大きさは、直径5m前後の平面形が円形プランを呈するものが多数で、中には長辺8m以上のものや、平面形が(長)方形や五角形を呈するものもみられます。特に(長)方形プランの住居址は曽利Ⅱ式期に多くみられます。内部施設は、確認できる住居址では勝坂式期の数軒が地床炉で、他はすべて石囲炉を有します。また周溝を有する住居が多く、2重、3重と巡らせる住居もみられます。壁高は、深いもので70cmを超えるものもあり、この時期の住居の特徴ともいえます。
縄文土器・石器などの遺物は、包含層や竪穴住居址などの遺構内から多数出土しています。
本遺跡周辺では、過去の発掘調査によって、本遺跡の縄文集落の後に続く、中期後葉加曽利E3式期~後期中葉加曽利B式期にかけての集落が確認されています。今後の調査の進展によって、上粕屋扇状地と呼ばれる台地上で、縄文時代中期前半から後期中葉にかけて1,000年以上の長きにわたって断続的に営まれた縄文集落の全体像が明らかになることが期待されます。