公開日 2025年02月07日
上粕屋・秋山遺跡
遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市上粕屋字秋山3052-6、3072-2、3078-4、3079、3094-2外 - 調査原因
一般道246号(厚木秦野道路)建設事業に伴う発掘調査 - 調査期間
令和6年4月1日~調査中 - 主な時代
旧石器・縄文・古代・中世・近世 - 遺跡の立地
渋田川右岸の秋山台地上
本遺跡は伊勢原駅の北西約3kmに位置し、大山に端を発する河川が作り出した上粕屋扇状地上の秋山台地に立地しています。遺跡の北側は渋田川支流が形成した支谷に面しています。本遺跡の調査は厚木秦野道路建設事業に伴うもので、第2次調査は平成28年度から実施されました。今年度は7区・8区残地・9区・10区・11区の調査を実施する計画となっています。今回は近世と中世の調査成果を中心に紹介します。
近世の遺構は主に9区・10区で検出されました。両調査区は秋山台地の北端に位置しています。この台地北端部を横断するようにK26号溝状遺構が検出されました。長さは約40mを測ります。K26号溝状遺構はローム土を掘削してつくられますが、中央部分だけはローム土を土橋状に掘り残しています。それに伴い門跡と考えられる柱穴が4基確認されました。K26号溝状遺構のすぐ北側は、ローム土を土塁状に高く掘り残しています。土塁状遺構は平均して幅4.5mを測ります。さらに北側に行くと、一帯を土塁状遺構上面から20【機種依存文字】程度削平している様子が認められました。この削平面からは柱穴が600基以上検出され、掘立柱建物跡として認識できるものもあります。台地を区画する溝状遺構・土塁状遺構・出入口施設(土橋状遺構と門跡)・柱穴群は一連の遺構で、屋敷跡(領主階級のものか)と想定されます。削平地業も屋敷造営に伴うものと考えられます。時期は出土遺物から17世紀後葉頃と推察されます。溝状遺構や柱穴群の覆土中には、ローム土がブロック状に混入しており、これは建物が破却された際に埋め戻された痕跡と考えられます。
中世では遺構や遺物はあまり認められませんが、10区では井戸跡が1基見つかっています。規模は長軸4.6m、短軸2.5mを測り、検出面からの深さは4mを超えます。覆土中からは、井戸枠と想定される木材や漆器、曲げ物の口縁部、柱材などが出土しました。
調査の写真
10区K26号溝状 断面