公開日 2015年03月02日
とき:平成27年2月24日
ところ:平成27年3月定例会
平成27年度一般会計及び各特別会計当初予算案を御審議いただくにあたり、その概要及び市政運営に関します所信の一端と、主な施策の大綱について申し述べさせていただきます。
平成27年度当初予算は、第5次総合計画中期戦略事業プランの最終年度の予算です。このため、第5次総合計画に掲げた将来都市像である「しあわせ創造都市 いせはら」の実現を目指し、伊勢原に住み、伊勢原で学び、伊勢原で働き、そして、伊勢原を訪れる誰もが「しあわせ」を実感できる未来を築くために、中期戦略プランを着実に推進していかなければなりません。また、本市の財政状況は、引き続き大変厳しい状況にありますので、同時に財政の健全化も図らなければなりません。
我が国の経済情勢は、個人消費などに弱さが見られるものの、緩やかな回復基調が続いています。先行きについては、EU経済の停滞や中国など新興国の成長鈍化など、我が国の景気を下押しする懸念材料はあるものの、失業率が低下し、また、ベースアップの実施などにより給与が増加するなど、雇用・所得環境の改善傾向が続く中で、各種政策の効果等もあって、緩やかに回復していくことが期待されています。また、県内の経済情勢についても、同様に景気回復基調が続くことが期待されています。
こうしたことから、法人市民税について、税制改正に伴う減収要因はあるものの、景気回復に伴う市内主要法人の増益見通しなどから増収を見込み、市税全体でも、前年度と比較して増収を見込んでいます。また、地方消費税交付金は、地方消費税率の引き上げに伴う増加額がほぼ平年度化することから大幅な増収となります。しかしながら、財政制度上、普通交付税及び臨時財政対策債については、大幅な減収となります。
予算編成の基本的な考え方
平成27年度の予算編成に当たっての基本的な考え方について申し上げますと、中期戦略事業プランを着実に推進するとともに、市民サービスの維持・向上や、直面する諸課題に的確に対応することとし、このため、創意と工夫等により、必要な財源を確保し、新たな事業や既存事業の充実を図ることとしました。中期戦略事業プラン事業についても、改めて事業の内容、実施方法等を精査し必要最小限の額としました。
これらの取組により一定の財源確保はできたものの、子ども・子育て支援新制度の適切な実施を含む施策の展開に必要な財源を確保できず、財源不足を解消するには至りませんでした。このため、制度上認められる退職手当債と、財政調整基金からの繰入金を計上することにより財源不足を解消することとしたほか、引き続き私と、副市長及び教育長の給与費の減額を実施することとしました。
しかし、財政調整基金からの繰入金は、前年度よりも大幅に縮減し、財政調整基金の年度末残高見込額は、前年度の当初予算時点よりも1億5千万円多い約6億6千万円を確保しています。
平成27年度の主な施策については、後ほど御説明いたしますが、前年度に引き続き「健康づくり」、「観光振興」そして「新たな土地利用」の3つの施策に重点を置いて取り組みます。
これらの施策は、庁内の関係部署で組織した「連携・連動推進チーム」により、組織間の連携・連動を図るとともに、市民や関係機関と連携・連動し、効果的に事業を展開しています。その結果、市民の健康意識の向上、市内への観光誘客数の増加、そして、県道横浜伊勢原線沿道の東部第二地区における新たな産業用地の創出に向けた手続きの進展などの成果を得ることができました。
平成27年度は、前年度における取組の成果を踏まえ、「健康づくり」については、「いきいき健康 だいすき伊勢原」をスローガンに「食育」、「健診・検診」、「運動」、「生きがいづくり」を一層推進し、健康寿命の延伸を図ります。
「観光振興」については、今年は大山ケーブルカーの施設更新が行われ、日向薬師宝城坊本堂の平成の大改修も平成28年度の完了を目指して進められており、本市の魅力がますます高まることから、外国人を含む観光客のさらなる増加を目指して取り組みます。
「新たな土地利用」については、東部第二地区の土地区画整理事業の円滑な実施を支援するとともに、立地企業の誘致を進めます。また、(仮称)伊勢原北インターチェンジ周辺の土地利用について、地元住民で組織している上粕屋地区土地利用研究会を中心として、事業手法や区域等の確定などを進めます。
また、子どもを産み育てやすいまちをつくるため、児童コミュニティクラブや、つどいの広場の増設を含め、平成27年度から開始する子ども・子育て支援新制度の円滑な実施を図るほか、通院に係る小児医療費の自己負担分を助成する対象年齢を、10月から小学4年生修了まで拡大します。寡婦(夫)控除のみなし適用も新たに実施します。
伊勢原駅北口周辺地区の整備については、都市計画変更に向けた全体整備の方針をまとめ、関係機関協議及び権利者の合意形成を図るとともに、引き続き都市計画道路伊勢原駅前線の用地先行取得を進めます。
なお、先般2月6日に、県立伊勢原射撃場がクレー射撃選手のナショナルトレーニングセンターとして文部科学省の指定を受けました。多くの選手や関係者などが本市を訪れる機会を活かし、地域の活性化やスポーツの振興に繋げていきたいと考えています。
予算規模
それでは、本議会に提出しました平成27年度当初予算案の一般会計及び各特別会計の概要について、御説明します。なお、金額については、100万円単位とさせていただきますことをご了承願います。
まず、一般会計をはじめとした各会計の予算規模について申し上げます。
一般会計の予算規模は303億1,600万円で、前年度と比較して14億6,400万円、5.1%の増となり、300億円を超える過去最大の当初予算規模となりました。
当初予算額が増加した要因としては、消防救急無線活動波のデジタル化整備や災害対応特殊はしご付消防自動車整備の完了などによる減の一方、都市計画道路田中笠窪線整備事業費や橋りょうの長寿命化修繕・耐震工事費の増のほか、子ども・子育て支援新制度に係る経費や、社会保障・税番号制度に係る経費などの増があげられます。
特別会計の予算規模は、5会計の合計が242億800万円で、前年度と比較して16億5,700万円、7.3%の増となりました。
一般会計と特別会計を合わせた全会計の予算額は545億2,400万円で、前年度と比較して31億2,100万円、6.1%の増となりました。
次に、一般会計予算の概要について申し上げます。まず、歳入の状況について申し上げます。
- 平成27年度一般会計予算の一般財源額は、207億2,800万円で、前年度と比較して5億9,600万円の増となりました。
- 一般財源が増加した要因は、臨時財政対策債などの減の一方、地方消費税交付金や市税などの増によるものです。
続きまして、歳入について、予算科目の款別に主なものを申し上げます。
- 市税のうち、個人市民税は、納税義務者数の増や給与所得の増などにより、前年度と比較して4,400万円、0.7%の増収を、法人市民税は、法人税割税率の引き下げに伴う影響はあるものの、市内主要法人の増益見通しにより、前年度と比較して2億6,200万円、23.9%の増収をそれぞれ見込んでいます。
- 固定資産税は、土地分が住宅用地の負担水準の引き上げにより増となることから、前年度と比較して7,800万円、1.2%の増収を見込んでいます。
- この結果、市税全体では、前年度と比較して3億8,400万円、2.5%の増となりました。
- 2款の地方譲与税から11款の交通安全対策特別交付金までは、平成26年度の決算見込みなどを基に計上し、前年度と比較して5億400万円、22.7%の増を見込んでいます。
このうち、6款の地方消費税交付金は、地方消費税率引き上げ分の増収により、前年度と比較して5億5,200万円の増となりますが、一方では、10款の地方交付税は、普通交付税が市税や地方消費税交付金の増などにより1億9,100万円の減となることから、前年度と比較して1億5,400万円の減となりました。 - 分担金及び負担金は、子ども・子育て支援新制度の開始に伴う保育料の増などにより、前年度と比較して1億300万円、30.7%の増となりました。
- 国庫支出金は、都市計画道路田中笠窪線整備に伴う防災・安全社会資本整備交付金や、子ども・子育て支援新制度に伴う子ども・子育て給付費負担金の増などにより、前年度と比較して4億6,100万円、10.1%の増となりました。
- 県支出金は、子ども・子育て支援新制度に伴う子ども・子育て給付費負担金の増などにより、前年度と比較して9,900万円、5.8%の増となりました。
- 財産収入は、市営小山住宅の跡地処分に伴う市有土地売払収入の増などにより、前年度と比較して1億6,000万円の大幅な増となりました。
- 繰入金は、前年度と比較して6,300万円、21.9%の減となりました。
基金の活用については、終末処理場の周辺整備に要する経費の財源として、終末処理場周辺整備基金から6,200万円を繰り入れるなどほか、一般財源の補填として、財政調整基金から前年度より1億1,000万円減の1億6,000万円を繰り入れるものです。 - 諸収入は、東海大学病院南東進入路受託事業収入の増などにより、前年度と比較して1億4,200万円、20.8%の増となりました。
- 市債は、前年度と比較して3億2,800万円、13.2%の減となりました。
普通債は、道路や橋りょう、図書館・子ども科学館などの施設整備の財源として活用し、特例債では、臨時財政対策債及び退職手当債を活用することとしました。
続きまして、歳出について性質別に申し上げます。
- 義務的経費は、164億400万円で、前年度と比較して4億3,100万円、2.7%の増となりました。
増加の主な要因は、市債償還利子の減などにより公債費が減少した一方、子ども・子育て支援新制度に伴う給付費などが増加したことによります。 - 普通建設事業費は、27億7,800万円で、前年度と比較して7億5,200万円、37.1%の増となりました。
増加の主なものとしては、都市計画道路田中笠窪線整備事業費、橋りょうの修繕・耐震化工事、図書館・子ども科学館の冷暖房設備改修工事などです。
引き続き、各特別会計予算の概要について申し上げます。
- 国民健康保険事業特別会計は、前年度と比較して12億円、11.0%増の120億6,300万円です。
増加の主な要因は、制度改正に伴う保険財政共同安定化事業拠出金などが増加したことによります。
一般会計繰入金は、前年度と比較して3,700万円増の10億6,000万円を計上しました。 - 下水道事業特別会計は、前年度と比較して2,200万円、0.5%減の45億800万円です。
減少の主な要因は、終末処理場整備事業費などが減少したことによります。
一般会計繰入金は、前年度と比較して9,800万円増の12億7,100万円を計上しました。 - 用地取得事業特別会計は、前年度と比較して1億3,800万円、150.0%増の2億3,000万円です。
増加の主な要因は、都市計画道路伊勢原駅前線の道路用地先行取得費などが増加したことによります。
一般会計繰入金は、前年度と同額の100万円を計上しました。 - 介護保険事業特別会計は、前年度と比較して2億9,300万円、4.8%増の63億7,700万円です。
増加の主な要因は、要介護認定者の増等に伴い保険給付費などが増加したことによります。
一般会計繰入金は、前年度と比較して5,100万円増の9億7,800万円を計上しました。 - 後期高齢者医療事業特別会計は、前年度と比較して4,800万円、4.9%増の10億3,000万円です。
増加の主な要因は、保険料等納付金などが増加したことによります。
一般会計繰入金は、前年度と比較して600万円増の1億6,500万円を計上しました。
平成27年度 主な施策
次に、平成27年度の主な施策について御説明します。第5次総合計画中期戦略事業プランに掲げた主な事業について、「暮らし力」、「安心力」、「活力」、「都市力」、「自治力」の5つの施策体系に沿って御説明します。
「暮らし力」の施策
「生涯にわたって健康に暮らせるまちづくり」の取組
健康教育、健康相談の実施や、昨年度に引き続き「チャレンジデー」に参加するほか、食育に関する料理コンテスト等による食生活の向上など、「市民が自ら取り組む健康づくり」を推進します。
「みんなで支え合う福祉のまちづくり」の取組
成年後見制度の利用促進や市民後見人の育成を進め、「多様な連携による地域福祉」を推進するほか、医療ケアが必要な重症心身障害児者の日中一時利用サービスの充実を図り、「障害者の地域生活支援」の充実を図ります。
「子どもを産み育てやすいまちづくり」の取組
子育ての不安や悩みを相談できる場である、つどいの広場を増設するほか、小児医療費助成事業について、所得制限を設けた上で、通院対象年齢を小学3年生までから4年生までに拡大するなど、「子育て家庭への支援」の充実を図ります。
また、児童コミュニティクラブの受入対象学年を、小学4年生までから6年生までに拡大するなど、「多様な働き方が選択できる保育」の充実を図ります。
「子どもや若者の成長と自立を支えるまちづくり」の取組
子どもの安全な遊び場、活動の場を確保するため、放課後子ども教室を増設するなど、「次代を担う子ども・若者の育成支援」を推進します。
「子どもの生きる力をはぐくむまちづくり」の取組
小学校における教科担当制や外国語指導助手の配置時間数を拡充するほか、教育相談員の配置日数を拡充するなど、「きめ細やかな教育」を推進します。
「いつまでも学び生きがいがもてるまちづくり」の取組
市民が気軽にスポーツに取り組む環境を整えるため、スポーツ広場を増設し、「学習成果を生かせる生涯学習」を推進します。
「安心力」の施策
「災害から市民のいのちを守るまちづくり」の取組
防災リーダーの育成や、災害時の高齢者・障害者の居場所づくりを進め、「みんなで取り組む地域防災力」の強化を図ります。
また、地震対策としてマンホールトイレの増設や公共下水道施設の耐震化を進め、土砂災害対策として雨量観測計を整備するとともに、急傾斜地崩壊危険区域を盛り込んだハザードマップを作製するほか、浸水対策として公共下水道雨水幹線等の整備を進め、「被害を最小限に抑える減災対策」を推進します。
「暮らしの安全を守るまちづくり」の取組
防犯カメラやLED型防犯灯の設置などを進め、「地域とともに取り組む防犯対策」を推進します。
「一人ひとりが大切にされるまちづくり」の取組
男女共同参画についての理解と啓発を進めるほか、戦後70年を迎えるに当たり、平和史料の収集・公開を行うなど、「互いに尊重し合うまちづくり」を推進します。
「活力」の施策
「地域の産業が盛んなまちづくり」の取組
地域の特性に応じた企業や、さがみロボット産業特区関連企業等の誘致活動を推進するとともに、中小企業の販路拡大等を支援するなど、「地域を支える商業・工業」の振興を図ります。
「多くの人が訪れる賑わいのあるまちづくり」の取組
平成大山講プロジェクトにより、大山・日向を中心とした地域振興や国際観光地づくりをさらに進めるなど、「伊勢原ならではの観光魅力づくり」を推進します。
また、公式イメージキャラクタークルリンを活用した各種イベント等への積極的参加のほか、(仮称)いせはらシティプロモーション推進計画に基づく取組を行うなど、「いせはらシティセールス」を推進します。
「都市の骨格を支えるまちづくり」の取組
東部第二土地区画整理推進事業では、産業系の新市街地整備に着手するとともに、地区外の道路設計等を行い事業を支援し、北インター周辺地区まちづくり推進事業では、事業手法や区域等を確定し、事業化に向けた地元組織の設立を目指すなど、「地域特性を生かした新たな産業基盤の創出」を推進します。
また、伊勢原駅北口周辺地区整備事業では、都市計画変更に向けた全体整備の方針をまとめ、権利者の合意形成等を図るとともに、都市計画道路伊勢原駅前線の用地先行取得を進めるなど、「交流がひろがる拠点の形成」を推進します。
「都市力」の施策
「愛着のある美しいまちづくり」の取組
景観計画及び景観条例に基づき、景観形成基準等を作成するなど、「地域の個性あふれるまちづくり」を推進します。
「安全で円滑な移動ができるまちづくり」の取組
誰もが安全で円滑に移動できるよう、歩行空間の整備を進めるなど、「バリアフリー対策」を推進します。
また、愛甲石田駅南口からのバスルートの増設に向け取り組み、「移動しやすい交通対策」を推進します。
「便利で機能的なまちづくり」の取組
都市計画道路田中笠窪線の整備を進めるなど、「都市機能を高める基盤施設整備」を推進します。
また、橋りょうや公園施設などの長寿命化を計画的に進めるとともに、新たに公共下水道管渠の長寿命化計画を策定するほか、行政文化センター駐車場の改善に向け取り組むなど、「公共施設の効率的な活用と維持管理・保全」を推進します。
「自治力」の施策
「地域の力が発揮できるまちづくり」の取組
社会保障・税番号制度に対応するため、コンピュータシステムの改修を行うなど、「市民に身近な市役所づくり」を図ります。
「次代へつながる確かな行財政運営ができるまちづくり」の取組
(仮称)納税推進コールセンターの開設や公売執行体制の整備を行い、市税の収納率の向上に向けた対策を強化するほか、引き続き、事業公社が整備した施設等の計画的な債務返済を行うなど、「健全で安定した財政運営」を推進します。
以上、第5次総合計画中期戦略事業プランの主な事業について、5つの施策体系に沿って御説明し、平成27年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。
「しあわせ創造都市 いせはら」の実現に向け着実に進んでまいりますので、議員の皆様をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。
細部につきましては、各担当の部長から説明させますので、御審議の上、御理解を賜りますようお願い申し上げます。