講演・スピーチ 令和5年市長施政方針

公開日 2023年02月17日

 

とき:令和5年2月17日

ところ:令和5年3月定例会

令和5年度は、第6次総合計画の初年度であり、今後10年間のまちづくりを始動する大変重要な年でございます。

人口減少や少子高齢社会が今後ますます進展する中、道のりは決して平坦なものではありませんが、第5次総合計画の取組で獲得した成果を礎に、また、伊勢原大山インターチェンジの開設をはじめとする広域的な交通アクセスの向上、産業基盤の整備推進、伊勢原駅北口再開発に向けた機運の上昇など、本市を取り巻く環境の変化を追い風として、新たな一歩を着実に踏み出してまいりたいと考えます。

さて、新型コロナウイルス感染症の出現以来、市民の皆様の安全・安心を第一に、感染状況を見極めながら、ワクチン接種をはじめとする感染拡大の防止、市民・市内事業者等に対する経済的な支援、消費の活性化、令和4年度には電気料金や物価高騰の影響を受けている市民、民間保育所や福祉施設等への支援、学校給食における食材費高騰への支援など、国や県との連携を図りつつ、継続して取り組んでまいりました。

様々な制約、制限がある中で、必要な市民サービスを維持することはもちろん、将来に向けたまちづくりの歩みを止めることのないよう、市民の皆様、関係団体の皆様の御理解や御協力もいただきながら全力で取り組んできたところであります。

一方、長引くコロナ禍において社会は大きく変化してまいりました。企業活動だけでなく、日々ICT化、キャッシュレス化が目に見える形で急速に進み、人々の働き方や暮らし方に対する考え方や価値観も多様化してまいりました。

そして、今、感染再拡大のリスクはあるものの、社会経済活動の一層の回復を促し、平時へと近づけていくために、感染症法上の分類の見直し等が行われており、社会経済は新たな局面へと進みつつあります。

予算編成の基本的な考え方

 令和5年度予算の編成は、依然として景気の先行きが不透明な状況ではあるものの、こうした変化を好機と捉え、新たな将来都市像である「人と自然と歴史が織りなす暮らしやすさ実感都市 伊勢原」の実現に向け、第6次総合計画の施策を着実に進めていかなければならないとの思いで取り組みました。

 歳出につきましては、感染拡大や物価高騰等の継続を懸念しつつも、総合計画に位置づける事業を中心に、子育て施策の充実をはじめ、市民福祉の維持・向上、地域経済社会の活性化を図り、「暮らしやすさ」を実感していただけるまちづくりに向け、その道筋を付けるよう努めました。

 また、長年の課題である老朽化が進む公共施設への対応につきましては、施設維持に必要な経費を計上するとともに、12月議会でお認めいただいた公共施設等総合管理基金への着実な積立てに強い思いで取り組みました。

 今後を見通しますと、人口減少社会、少子高齢社会の進展を踏まえ、急激な景気悪化による減収へ備えるとともに、将来にわたり必要な市民サービスを提供できる体制を維持するためには、歳出・歳入両面からの取組により、持続可能な財務体質を確保していかなければなりません。

 このため、新たに業務量調査等による行政運営の最適化に取り組むとともに、新たな産業基盤の創出や伊勢原駅北口市街地整備推進事業など、税財源のかん養に向けた投資に継続して取り組むこととしています。

 歳入につきましては、給与所得や企業収益の増、設備投資の増などにより、歳入の根幹をなす市税について一定の伸びを見込みましたが、社会保障関係費の増加、公共施設の適切な維持管理や光熱水費高騰への対応などにより、本市の財政は引き続き厳しい状況です。

 このため、令和3年度決算に基づく前年度繰越金の増等により積み増しをした財政調整基金から約10億円を繰り入れることとし、基金残高の確保にも努めながら、中長期的な事業展開も見据えた上で、今取り組まなければならない事業に必要な予算を確保したところであります。

 感染状況をはじめ、市を取り巻く情勢は刻一刻と変化します。市長就任以来実践してまいりました「市民目線」と「現場主義」を念頭に、引き続きスピード感をもって取り組むことが肝要であると再認識し、限られた財源、資源をいかにして有効に活用するか、職員一丸となって創意と工夫を凝らしながら、新たにスタートする総合計画に基づくまちづくりに力強く取り組むこととします。

予算規模

 令和5年度伊勢原市予算の概要につきまして、御説明いたします。金額は、100万円単位とさせていただきます。また、比較増減は、令和4年度当初予算に対するものとなります。

 まず、予算規模について申し上げます。
 
 一般会計の予算額は、353億2,200万円で、6億2,700万円の増となりました。主な要因といたしましては、第6次総合計画の着実な施策推進に係る事業費の増、少子高齢社会の進展等に伴う扶助費や医療・社会保障関連特別会計への繰出金の増、公共施設等総合管理基金積立金の皆増、公共施設等における電気料金・物価高騰に伴う光熱水費の増などによるものです。

 特別会計4会計の予算額は、194億4,100万円で、1億1,700万円の増となりました。介護保険事業特別会計及び後期高齢者医療事業特別会計が増となったことによるものです。

 公営企業会計の予算額は、63億7,300万円で、2億4,600万円の増となりました。

 以上、6会計の予算額は、611億3,600万円で、9億9,000万円の増となりました。

 次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。
 
 まず、歳入です。
  • 一般財源額は、238億4,100万円で、8億4,500万円の増となりました。市税や地方消費税交付金、財政調整基金繰入金等が増となったことによるものですが、一方で、臨時財政対策債等は減となります。
    
    続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。
  • 市税は、4億7,000万円の増となりました。個人市民税について、給与所得の増等に伴い、1億2,700万円の増、法人市民税について、企業収益の増等により、6,800万円の増、固定資産税について、設備投資や新増築家屋の増等により、2億1,400万円の増を見込んだことなどによるものです。
  • 地方譲与税及び各種交付金につきましては、令和4年度の決算見込みなどを基に計上し、2億5,800万円の増を見込みました。地方消費税交付金などの増によるものです。
  • 地方交付税につきましては、令和4年度の決算見込みなどを基に計上し、1億9,300万円の増を見込みました。
    
  • 国庫支出金については、3億7,100万円の減を見込みました。新型コロナウイルスワクチン接種事業費負担金や新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費補助金の皆減などによるものです。
    
  • 繰入金につきましては、2億6,300万円の増となりました。財政調整基金繰入金の増等によるものです。
  • 市債につきましては、1億9,200万円の減となりました。臨時財政対策債の減や伊勢原大山インター土地区画整理の事業進ちょくに伴う減等によるものです。

続きまして、歳出の性質別に主な内容を申し上げます。

  • 人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、800万円の減となりました。市債残高の減少等による償還元金・利子の減に伴い公債費が減となる一方、サービス利用者の増等に伴い扶助費が増、人件費も増を見込みました。
  • 物件費については、1億3,000万円の減を見込みました。新型コロナウイルス感染症ワクチン接種事業の進ちょく等に伴い感染症予防対策事業費の委託料等が減となったことによるものですが、一方で、道路管理推進事業費の委託料、公共施設の維持管理における光熱水費等については増となっています。
  • 普通建設事業費については、8,900万円の増となりました。事業の進ちょく等に伴い舗装打換事業費や、都市計画道路田中笠窪線整備事業費の工事請負費が増となる一方、石田小学校施設取得費及び桜台小学校屋内運動場取得費の皆減等によるものです。
    
  • 積立金については、4億9,200万円の増となりました。公共施設等総合管理基金及び市街地再開発基金への積立てに伴い増となりました。

続きまして、各特別会計及び公営企業会計について申し上げます。

  • 国民健康保険事業特別会計については、8,500万円の減となりました。保険給付費の一般被保険者療養給付費の減等によるものです。一般会計からの繰入金は、9,100万円の増です。
  • 用地取得事業特別会計については、前年度と同額で、一般会計からの繰入金も同額です。
  • 介護保険事業特別会計については、1億1,700万円の増です。保険給付費の地域密着型介護サービス等給付費の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、600万円の増です。
    
  • 後期高齢者医療事業特別会計については、8,500万円の増です。後期高齢者医療広域連合納付金における保険料等納付金の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、1,100万円の増です。

最後に、公営企業会計について申し上げます。

  • 公共下水道事業会計は、2億4,600万円の増となりました。終末処理場維持管理費の増等によるものです。一般会計からの繰入金は、負担金、補助金及び出資金の合計で、8,400万円の増です。

令和5年度 主な取組

第6次総合計画・実施計画の施策体系に沿って、令和5年度の主な取組を御説明いたします。

「防災・安全分野」

「防災」の施策

 渋田川の集水域に雨量計を設置し、市民への情報提供体制を強化します。

「消防・救急」の施策

 (仮称)秦野市・伊勢原市共同消防指令センターの建設を進めるほか、消防総合指令システムや消防救急デジタル無線 の整備を進めます。

「交通安全」の施策

 中学生を対象に体験型交通安全教室「スケアード・ストレイト」を実施するほか、伊勢原駅及び愛甲石田駅周辺における市営自転車等駐車場の整備計画を策定します。

「福祉・保健分野」

「高齢者福祉」の施策

 介護老人福祉施設や地域密着型サービスを整備するほか、地域における自主的な介護予防活動の支援や介護予防サポーター等の育成等により介護予防を推進します。

「障がい者福祉」の施策

 相談支援事業所の確保や相談支援従事者の資質向上などによる事業の充実、強化を図るとともに、地域生活支援拠点等の整備、医療的ケア児等に対する支援体制の構築に努めます。

「健康づくり」の施策

 習慣化アプリを活用した健康づくりに取り組むほか、地域における望ましい食習慣の普及を支援するとともに、和食文化の継承を推進します。

「運動・スポーツ」の施策

 市体育館エントランスホールの空調設備の改修に向けた設計業務を実施します。

「子育て・教育分野」

「子育て支援」の施策

 妊婦健康診査の助成額を拡大するとともに、新生児聴覚検査の費用の一部助成を開始するほか、小児医療費助成の所得制限を令和5年10月から廃止し、子育て支援の一層の充実を図ります。

「学校教育」の施策

 小学校における教科担当制を拡充し大山小学校を除く全小学校に導入するとともに、小学校に非常勤講師を配置して少人数学級を推進するほか、市内全小中学校に児童生徒指導補助員を配置します。

「教育環境整備」の施策

 成瀬中学校の法面保護工事を実施するほか、学校施設個別施設計画に基づき、比々多小学校の体育館の機能回復に向けた改修工事設計、山王中学校及び中沢中学校の屋上・外壁等の改修工事設計を実施します。

「生涯学習」の施策

 電子図書館においてデジタル資料等を引き続き収集、提供するとともに、郷土資料等のデジタル化やリアル図書館で館内閲覧デジタルデータサービスを導入するなど、図書館利用者の利便性の向上を図ります。また、図書館・子ども科学館個別施設計画に基づき、劣化の著しい部位の機能回復修繕等を実施します。

「産業・環境分野」

「商工業」の施策

 企業誘致活動により地域産業の活性化を図るほか、市内中小企業の持続的な発展に向け、ニーズ調査により設備投資の課題等の把握に努めるとともに、製造業の生産性向上に向けた先端設備導入を促進する新たな支援制度を創設します。

「観光」の施策

 様々な観光事業に取り組む伊勢原市日本遺産協議会を支援するほか、ポストコロナにおけるインバウンド需要の回復を見据え、インバウンドPR事業を推進するとともに、大山地域通訳案内士活用事業など外国人観光客を対象とする誘客プロモーションの強化に取り組みます。

「地球・生活環境」の施策

 「ゼロカーボンシティいせはら」の実現に向け、EVカーシェアリング事業による電気自動車の普及啓発や一般家庭向けに「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」に対する補助を実施します。

「都市基盤分野」

「新たな土地利用」の施策

 新たなまちづくり拠点創出に対応するまちづくり構想について調査、検討するとともに、神奈川県の第8回線引き見直しにおける新たな産業系市街地の創出について検討します。

「都市整備」の施策

 伊勢原駅北口地区における市街地再開発事業について、公共施設の計画協議を実施するとともに、再開発準備組合等と連携して再開発施設計画案の更新検討等を進めるほか、伊勢原大山インター土地区画整理組合に対する技術的援助や補助金交付により、土地区画整理事業の円滑な推進を図ります。

「道路」の施策

 都市計画道路田中笠窪線整備事業を推進するとともに、通学路等の歩道整備やバリアフリー化、歩車共存道路の整備を推進します。

「市民・行政分野」

「人権・男女共同参画」の施策

 パートナーシップ宣誓制度の運用を開始するほか、ワンストップの総合的対応窓口を設置し犯罪被害者等に対する相談支援や財政的な支援を行うとともに、様々な手法による広報活動を実施します。

「広報・シティプロモーション」の施策

 インスタグラムに市公式アカウントを開設し、魅力の発信を強化し、多様な主体と連携したシティプロモーションを推進するとともに、定住促進ポータルサイトの構築等に取り組みます。

「公共施設マネジメント」の施策

 民間活力の導入可能性に係るサウンディング型市場調査等を実施し、市民文化会館の改修に向けた検討を進めるほか、市役所来庁者の利便性向上や、子育て支援機能の充実に向け、新築分庁舎の整備を推進します。

 

 以上、第6次総合計画・実施計画に位置づける重点事業のうち、当初予算に計上して取り組む主な事業について説明し、令和5年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。
 市民の皆様が安心して暮らすことができるまち、誰もが暮らしやすさを実感し、住み続けたいと思えるまちづくりに向け、引き続き感染症、物価高騰等の動向を注視するとともに、施策推進に全力で取り組んでまいりますので、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。
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