公開日 2024年08月15日
更新日 2024年08月15日
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広報いせはら連載企画「シリーズ 匠の技 伊勢原の職人に迫る」
安田正清さん(安田弓具店)
経歴
昭和9年4月生まれ(90歳)。江戸時代から続く弓具店を営む家に生まれ、17歳のころに祖父やその弟子から矢の作り方を習い、長年受け継がれた技術で70年以上作り続けている。現在は安田弓具店10代目として、息子とともに県内で唯一、弓道の矢を作っている。
一射入魂に応えられる矢を
竹で矢を作るためには多くの工程が必要で、1週間ほどの時間がかかります。まず、炭火で竹を熱して柔らかくし、曲がりを少しずつ矯正することで真っ直ぐな状態にします。削って太さ・重さ・重心の位置をそろえ、再度熱することで竹は硬くなり、深い茶色になります。その後、トクサという植物の茎で磨き、塗料を使うことでつやを出し、筈という矢の末端で弓の弦を受ける部分と矢の先端部分である矢尻を付けます。最後に羽根を付けて矢の完成です。
弓を引かれる人は一射入魂、魂を込めて矢を放っているので、その思いに応えられるよう、一本一本丁寧に仕上げています。向上心を持つことができなくなったらおしまいだと思っているので、矢を作り続けて70年以上経った今もお客さまからの意見を聞きながら、ご満足いただける矢を作れるようにと考えています。
お客さまに長く当店の矢をご愛好いただき、仕事を通して多くのお客さまとのつながりを持てたことが嬉しいです。たくさんの人に支えられてきたからこそ、この仕事を続けてこられたので、これからも感謝の気持ちを忘れずに、さらにより良い物を作り続けていきたいと思います。