施政方針 令和7年2月17日

公開日 2025年03月06日

 

とき:令和7年2月17日

ところ:令和6年度3月定例会

 

令和7年度当初予算は、市長として初めて編成する当初予算となります。
長い歴史と文化、豊かな自然環境に恵まれた伊勢原市の舵取りを担うに当たり、昨年10月臨時会において、今後の市政運営に対する考えを述べ、6つの約束を掲げました。
 一つ、子育て世代が、子育てしやすい・暮らしやすいまちを目指すこと
 二つ、恵まれた医療環境を生かし、日本一の健康都市を目指すこと
 三つ、持続ある力強い経済と、魅力ある観光発信都市伊勢原を目指すこと
 四つ、生活の利便性、経済インフラの整ったまち伊勢原を目指すこと
 五つ、生きがい・やりがいのある魅力的な市役所を実現すること
 六つ、災害に強い安心して暮らせる伊勢原を目指すことでございます。

そこで、令和7年度予算は、これら6つの約束を軸に、第6次総合計画で掲げる将来都市像「暮らしやすさ実感都市 伊勢原」の実現に向けて、今取り組むべき施策を着実に進めるための予算として編成することといたしました。

さて、我が国の経済は緩やかな回復基調にあります。国はデフレ脱却に向け、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現を目指しており、賃金と物価の好循環が期待されています。しかし、一方で海外情勢の不確実性の高まりや物価の上昇、金融資本市場の変動等の影響が懸念されるところであり、景気の動向は依然として不透明な状況です。
このような中、本市を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。新東名高速道路は令和9年度に全線開通予定であり、伊勢原大山インター周辺の産業用地についても、令和9年度から土地利用の開始が見込まれています。また、小田急電鉄株式会社の総合車両所も令和15年度の操業開始に向け、準備が進められているところです。
さらに、令和7年4月には子育て支援の拠点となる新築分庁舎の共用が開始されます。
市では、このような大きな変化を捉え、さらなる市民サービスの向上へとまちづくりの進化を図り、市民の皆様に希望を持っていただけるよう努めることが重要と認識しているところであり、子育て世代や障がい者、高齢者など、誰もが住みたい、住み続けたいと思える伊勢原を創り上げるため、可能な取組から進めてまいりたいと考えています。

こうした認識の下、令和7年度の予算編成を振り返りますと、所得環境の改善等による個人市民税の増収等が見込まれる一方で、地方交付税は減収が予想されるなど、歳入の大幅な増は期待できない状況となりました。また、令和6年度予算編成時には、多額の財政不足を財政調整基金から繰り入れることで補塡しましたが、その結果、基金残高が大きく減少したため、今回の予算編成において活用は難しいとの認識でした。
さらに、子ども・子育て施策の充実を含む国の制度改正による負担の増加や、物価・エネルギー価格の高騰、賃金上昇等による事業費の上昇などを受け、財政負担が大きく増加すると見込まれました。
就任前から本市の財政状況の厳しさを認識していたものの、予算の編成は大変難しく、改めて厳しい状況を実感したところです。
そこで、市民サービス水準の維持に必要な財源を確保しつつ、経常的な経費の徹底した精査等によって歳出規模の抑制を図ることといたしました。
具体的には、令和7年度の歳入に見合った歳出規模を目指し、実績等に基づいた要求額となるよう精度を高めるとともに、実施の必要性等を検証し、実施時期を見直して財政負担の平準化に努めました。その際、経費を削減するだけでなく、必要な財源を生み出す取組についても検討を行い、税財源の涵養に資する取組や子育て支援の充実など、未来への投資に財源を配分し、市民の皆様の安全・安心を第一としつつも、本市の将来へとつなげるまちづくりを推進するための予算の編成に注力いたしました。
さらには、持続可能な市政経営の視点に基づき、財政調整基金からの繰入を最小限に抑えて基金残高の確保に努め、市債の活用についても上限金額を設定して新規借入を可能な限り抑制するなど、財政健全化に配慮したところです。

 

それでは、令和7年度伊勢原市予算の概要につきまして、御説明します。
金額は、100万円単位とさせていただきます。
また、比較増減は、令和6年度当初予算に対するものとなります。

まず、予算規模について申し上げます。
一般会計の予算額は、394億4,500万円で、14億7,200万円の増となりました。
主な要因といたしましては、都市計画道路田中笠窪線の整備や、伊勢原駅北口市街地整備の推進、自治体情報システム標準化・共通化への対応、小学校給食費等の公会計化など、第6次総合計画・実施計画に掲げる重点事業の推進に係る事業費の増、扶助費の増などによるものです。

4つの特別会計の予算額は、
合計201億4,600万円で、2億5,600万円の増となりました。
用地取得事業特別会計で所有する用地の再取得に伴い、用地取得事業特別会計が増となるほか、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計が増となりました。

公営企業会計の予算額は、58億3,600万円で、2億9,500万円の減となりました。
以上、6会計の予算額の合計は、654億2,700万円で、14億3,300万円の増となりました。

○ 次に、一般会計予算案の概要について申し上げます。
まず、歳入です。

○ 一般財源額は、236億4,600万円で、3億7,200万円の減となりました。
市税が増となった一方、財政調整基金繰入金が減となったことなどによるものです。

○ 続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。

○ 市税は、9億1,800万円の増となりました。

○ 法人市民税は、企業収益の減等により減となる一方、個人市民税は給与所得の増や定額減税の終了による減収の解消、固定資産税は、評価替えによる地価の上昇や新築家屋に係る軽減期間の満了等により、それぞれ増収を見込み、市税総体としても増を見込みました。

○ なお、定額減税の終了による減収の解消に伴い、減収補てん分が減となることから、地方特例交付金は4億7,800万円の減を見込みました。

○ 国庫支出金は、14億2,400万円の増を見込みました。
子ども・子育て関連などの扶助費の増のほか、伊勢原駅北口市街地整備に係る事業進ちょく等に伴い増となるものです。

○ 財産収入は、4億2,600万円の増となりました。
  小学校給食等の公会計化に伴う増などによるものです。

○ 繰入金は、7億1,300万円の減となりました。
財政調整基金繰入金の減などによるものです。

○ 続きまして、歳出の性質別に主な内容を申し上げます。

○ 人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、10億3,300万円の増となりました。
公債費が減となる一方、人件費及び扶助費が増となることによるものです。

○ 物件費は、6億700万円の増となりました。
  小学校給食等の公会計化などによるものです。

○ 普通建設事業費は、2億3,600万円の増となりました。
都市計画道路田中笠窪線整備事業や伊勢原駅北口市街地整備推進事業の進ちょくなどによるものです。

○ 続きまして、各特別会計について申し上げます。

○ 国民健康保険事業特別会計は、4億8,800万円の減となりました。
一般会計からの繰入金は、4,500万円の減です。

○ 用地取得事業特別会計は、4億8,200万円の増となりました。
一般会計からの繰入金は、23万円の減です。

○ 介護保険事業特別会計は、1億8,500万円の増です。
一般会計からの繰入金は、100万円の増です。

○ 後期高齢者医療事業特別会計は、7,700万円の増です。
一般会計からの繰入金は、400万円の増です。

○ 最後に、公営企業会計について申し上げます。

○ 公共下水道事業会計は、2億9,500万円の減となりました。
一般会計からの繰入金は、負担金、補助金及び出資金の合計で、2,000万円の減です。

○ 次に、第6次総合計画・実施計画の施策体系に沿って、令和7年度の主な取組を御説明いたします。

● まず、「防災・安全分野」です。

○ 「防災」の施策では、大規模災害時の通信途絶等に備えて通信手段を確保するため、最新技術を搭載した無線機を導入するとともに、再整備した県防災行政用通信網の適切な管理・運用を行うほか、成瀬中学校にマンホールトイレユニット及び収納庫を整備し、避難所における衛生環境の向上に努めます。

● 次に、「福祉・保健分野」です。

○ 「高齢者福祉」の施策では、在宅で生活する重度の要介護者や認知症高齢者の通院や買い物等外出時の経済的負担と介護者の負担を軽減するため、タクシー利用助成券を交付します。

○ 「障がい者福祉」の施策では、発達障がい児の保護者を対象とする「ペアレントトレーニング」を実施するとともに、「ペアレントメンター」を養成し、発達障がい児・者やその家族に対する支援体制の整備を進めます。

● 次に、「子育て・教育分野」です。

○ 「子育て支援」の施策では、子育てしやすい環境づくりに向け、紙おむつ等を支給し、子育て世帯の経済的な負担軽減を図るとともに、次代を担う子どもの健やかな成長を応援するほか、

「妊産婦健康診査」や「妊婦歯科検診」に係る費用の一部を助成するとともに、「新生児聴覚検査」費用の一部に対する助成を行い、子育て支援の一層の充実を図ります。

○ さらに、多様な児童に応じた適切な教育・保育の機会を継続的かつ安定的に提供するとともに、待機児童の解消を図るため、心身の障がいをはじめ、支援を必要とする児童を受け入れる保育所等に対する補助を行うほか、保育士の就職説明会を開催し、保育体制の拡充に取り組みます。

○ 「教育環境整備」の施策では、学校教育を取り巻く環境変化に対応し、教育水準の維持向上等を図るため、市立小中学校の望ましい学校規模等に関する基本方針の策定に取り組むとともに、学校施設個別施設計画の改定、今後の学校プールと給食施設の在り方について検討を進めます。

○ また、令和6・7年度の継続事業として、学校施設個別施設計画に基づき、比々多小学校体育館中規模改修工事、中沢中学校校舎屋上・外壁改修工事を実施するほか、竹園小学校体育館の中規模改修工事の設計に取り組みます。

○ 「生涯学習」の施策では、図書館・子ども科学館個別施設計画に基づき、令和6・7年度の継続事業として、屋上等防水改修工事を行うとともに、防火シャッター等の安全対策工事を実施します。

● 次に、「産業・環境分野」です。

○ 「観光」の施策では、インバウンド誘客の促進に向け、英語で観光ガイドを行う「大山地域通訳案内士」組織のプロモーション・事業活動を支援します。

○ 「地球・生活環境」の施策では、EVカーシェアリング事業による電気自動車の普及啓発や一般家庭に対する「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」補助を行い「ゼロカーボンシティいせはら」の実現に向けた取組を推進するほか、公共施設の照明をLED化し、温室効果ガス排出量削減を推進します。

○ 「循環型社会」の施策では、プラスチック使用製品廃棄物の分別収集を令和8年度から開始するため、圧縮等設備の機械更新を含めた中間処理業務委託を開始し、分別収集・再資源化体制を構築するほか、ペットボトルの中間処理業務を民間事業者施設で行い、資源物の安定的な処理・再商品化体制を構築します。

● 次に、「都市基盤分野」です。

○ 「新たな土地利用」の施策では、多様な主体との連携により、新たな地域拠点の創出に向けたまちづくりの調査・検討を行うとともに、神奈川県が実施する第8回線引き見直しにおいて創出を図る新たな産業系市街地における土地利用に向けた調査・検討を進めます。

○ 「都市整備」の施策では、伊勢原駅北口市街地の再開発事業において再開発組合を支援するとともに、関係権利者の合意形成を図るほか、伊勢原大山インター土地区画整理組合に対する技術的援助や補助金交付により、土地区画整理事業の円滑な推進を図ります。

○ 「道路」の施策では、都市計画道路田中笠窪線の整備を計画的に進めるほか、安全な交通環境や歩行空間の確保に向け、交通安全施設の整備を計画的に推進します。

○ 「住宅」の施策では、空き家の適切な管理に向け、伊勢原市空家等対策計画の取組を推進します。

● 最後に、「市民・行政分野」です。

○ 「行財政運営」の施策では、職員研修計画に基づき、階層別研修や、課題・職能別研修、派遣研修等を計画的に実施し、職員の能力・意欲の向上を図り、行政運営を支えることができる人材の育成を進めるとともに、職員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を進めます。

○ 「ICTの利活用」の施策では、マイナンバーカード交付窓口において、マイナンバーカード等を活用して申請書の自動作成を行い、来庁者が負担なく手続きできるよう取組を進めるほか、マイナポータルや市LINE公式アカウント等の活用により、行政手続きのオンライン化の拡大を図り、市民、事業者等の利便性の向上に努めます。

○ 以上、第6次総合計画・実施計画に位置づける重点事業のうち、当初予算に計上して取り組む主な事業について説明し、令和7年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べました。

○ 今回の予算編成は、歳出削減を中心に取り組みました。令和7年度には、新たな財源確保に向けた組織を新設します。職員のさらなるコスト意識の向上や増収に対する意識の醸成等に努め、「市政経営」を進めてまいる考えです。

○ 先人たちから受け継がれた恵まれた環境を生かしつつ、新たな魅力を創出し、誰もが暮らしやすさを実感し、住み続けたいと思えるまちづくりに向け、施策の一層の推進に、また財政の健全化に全力で取り組んでまいりますので、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

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