公開日 2010年04月26日
更新日 2023年12月06日
ヤマビルの生態
ヤマビルは、ミミズの仲間の環形動物で、茶褐色で背に黒色の縦線があります。体長は2~5cmの円筒形をしており体の前後に吸盤があり尺取り虫のように移動し人やシカなどの動物に付着し吸血します。生息場所は、湿気の多い草地や林など。
活動期は4月~11月。6月から9月までは、ヤマビルの生息に最も適した気象条件となり生息密度は高まり、特に、雨上がりに活動的になります。また、雌雄同体で吸血後に産卵します。寿命は2~3年で、冬期は落葉や石の下などで越冬します。
ヤマビルに吸血された場合
ヤマビルは、前吸盤の中央にある歯で皮膚を傷つけ、血液を固まらせず、また痛み感じさせないヒルジンという物質を出して1cc~1.5cc吸血します。
- ヤマビルの付着に気が付いた時は、慌てて取らないでください皮膚に歯が残り後で化膿したりする場合があります。ヤマビルに火を近づけると口を放します。塩や酢をヤマビルに直接かけることも有効です。
- その後、傷口から血液を固まらせない物質を血液と一緒に押し出すように排出し、傷口を水などで洗浄してください。最後に抗ヒスタミン剤(虫刺され薬やかゆみ止め薬)を塗布。傷口にはアンモニアを塗布しないでください。
- 出血がつづく時は、清潔な布を傷口にあて、手のひらの根元で上から圧迫して止血してください。
- ヤマビルは、吸血後約2週間で産卵(数十個)します。卵は2~4週間でふ化し2~4カ月で成体になります。吸血したヤマビルは確実に駆除してください。
ヤマビルを寄せ付けない方法
- ヤマビルの生息密度を低下させる方法
- 道の周辺樹木の枝打ちや草刈りを行い、太陽光線を地表に直接差し込ませ地面を乾燥させる。また、道や遊休農地の落ち葉を除去する。
- ヤマビルが生息する草地では、出来るだけ草を短く苅り地面を乾燥させる。
- 道や草地に落葉などの焼却灰を、1平方メートルあたり1リットル散布する。
- ヤマビルの嫌う物質による予防方法
- 食塩水や木酢液(臭いがとれにくいので注意)の希釈液が効果的です。
- 希釈濃度:
- 食塩水は濃度20パーセント(水8に対して食塩2を加えて溶かす)
- 木酢液は濃度50パーセント(水と木酢液を同量混合する)
- 使用方法
- 希釈液を、履き物や履き物に巻き付けたサポーターなどにスプレーで、散布し濡らして使用する。長時間山歩きをする時は、携帯用スプレーで再散布する
- 希釈液に、サポーターなどを2~3日浸し、乾燥後履き物に巻き付け使用
ヤマビルの駆除方法
駆除するには、薬剤をヤマビルに直接散布することが必要です。予防的に高濃度の薬剤を大量散布することは自然環境に悪影響を与える場合がありますので、おやめください。散布する場合は、ヤマビルの生息密度が高く、人的被害の発生しやすい場所で、限定的に利用してください。
- 駆除物質
食塩水、木酢液、酢酸溶液(食酢でもよい、アンモニア水)。市販のヤマビル忌避剤や駆除剤もあります。 - 希釈濃度
- 食塩水は濃度10~20パーセント
- 木酢液は濃度50パーセント
- 酢酸溶液は濃度2~5パーセント
- アンモニア水は濃度1~3パーセント
- 散布量
1平方メートルあたり100cc - 散布方法
噴霧器やスプレーで直接ヤマビルに付着するように散布する。 - 効果的駆除方法
ヤマビルの駆除には、ヤマビルに直接薬剤を散布する必要があります。2人1組で行動し、1人目が「おとり」となって生息地を歩き、現れたヤマビルに2人目が薬剤を散布する方法が効果的です。
使用上の注意
ヤマビルの嫌う物質や駆除物質の使用にあたっては、濃度や散布量などを守ってください。また、市販のヤマビル忌避剤や駆除剤を用いる場合には、使用上の注意を守ってください。 ヤマビルの嫌う物質や駆除物質の大量散布は、環境に対する影響が生じる場合があります。慎重に使用するようお願いします。
参考文献:千葉県・千葉県農林技術会議発行「ヤマビルの防除マニュアル」 ヤマビル研究会ホームページ(外部リンク)