公開日 2013年01月15日
更新日 2020年11月26日
ポリオ(急性灰白髄炎)について
- ポリオは「小児まひ」とも呼ばれポリオウイルスによって体にまひを起こす病気です。
- 現在日本では、昭和55年以降ポリオの自然発生はありません。しかし、アフリカや東南アジアの一部では現在もポリオが発生しています。これらの地域で日本人が感染したり、日本にポリオウイルスが入ってくる可能性もあります。
- ポリオウイルスは人から人へ感染します。感染した人の便中に排泄されたウイルスが口に入り、のどや腸で感染し、ウイルスが増殖します。
- 感染者のほとんどの場合は症状があらわれず、抵抗力(終生免疫)が得られます。しかし、感染者のうち100人中4~8人は、かぜ様の症状があり、発熱に続き、頭痛、嘔吐の症状があらわれます。1~2人はその後、髄膜炎へと悪化します。また、1,000に1人~20人の割合で、体にまひを起こします。一部の人には、永久にまひが残り、まひの症状が進行すると、呼吸困難により死亡することもあります。
生ポリオワクチンと不活化ポリオワクチン
生ポリオワクチンについて
- 生ポリオワクチンは、口から飲む生ワクチンです。ポリオウイルスを弱毒化させ、その病気にかかった場合と同じように抵抗力をつくります。
- 口から飲むワクチンのため、注射のような痛みや腫れといった副反応はありませんが、服用後体内でウイルスが増え、毒力が増すこともあり、これにより、ポリオと同様の症状が現れることがあります。
- 最近では10年間に15人(約100万回接種あたりに1.4人)にまひが起きています。WHO(世界保健機構)では、100万回接種あたりに2~4人が発症するとしています。
- その他の副反応として、接種後3日ごろまでをピークに下痢や発熱、嘔吐の報告があります。
- 生ポリオワクチンを投与後15~37日間(平均26日間)にわたり、ウイルスが便中に排出されます。このウイルスが、ポリオウイルスに対する抵抗力を持っていない人、または抵抗力の低い人に感染して、まひを起こすこと(二次感染)があります。頻度は一定していませんが、日本では約789万回接種あたりに1人起こる極めてまれなものです。オムツ換えの後、十分に手洗いをするなど注意する必要があります。
- このようなことから、生ポリオワクチンを用いた集団接種により一斉に免疫をつけることが推奨されてきました。
- 生ポリオワクチンは免疫効果が強く、長期間にわたる免疫が得られることから、接種回数は原則2回とされています。
不活化ポリオワクチンについて
- 不活化ポリオワクチンは、注射をするワクチンです。ポリオウイルスを不活化し(殺し)、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して病原性を無くしてつくります。
- 不活化した(殺した)ウイルスを使用しているので、便の中にウイルスが排出されたり、そこから二次感染を起こすこともありません。
- ウイルスとしての働きはないので、ポリオと同様の症状が出るという副反応はありませんが、発熱や腫れ、アナフィラキシーなど、不活化ワクチンにも副反応はあります。
- 生ポリオワクチンよりも、免疫効果が弱く、長期継続しないといわれていることから、接種回数は原則4回(追加1回を含む)とされています。
移行への経過
- 日本では明治以来相当数のポリオの発生がありました。特に昭和35年には全国で6,500人に達する患者が報告される大流行となりました。
- このとき、カナダや旧ソ連から生ポリオワクチンを緊急輸入をし、1,300万人の小児に一斉投与が行われました。生ポリオワクチンの一斉投与の効果は偉大で3年後には患者数は100人以下となりました。
- 昭和39年には2回の生ポリオワクチン接種が定期接種として取り入れられ、昭和55年以降は野生のポリオウイルスによる新たな患者は発生していません。
- 現在国内において、ポリオの発生が見られないことから、生ポリオワクチンによって起きるポリオ様のマヒの発生や二次感染のリスクを避けるため、これらの危険性のない不活化ポリオワクチンが導入されることになりました。
昭和50年から昭和52年生まれの人について
昭和50年から昭和52年に生まれた人は、使用したワクチンの関係で抗体価が低い可能性があります。
定期接種で生ポリオワクチンを使用していた今までは、主に便からの二次感染のおそれがあったため、お子様の生ポリオワクチン接種時に合わせて接種することをおすすめしてきました。
不活化ポリオワクチンは二次感染の恐れがありませんので、お子様の接種に合わせて接種する必要はありませんが、流行地域へ渡航される際はポリオワクチンを接種しましょう。
その他
不活化ポリオワクチンのスケジュールなどについては
をご覧ください。
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